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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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見えない正体-10



あの兄妹に出会ったときのことは、今でもはっきりと覚えている。
まだ織笠のオヤジが、自分の組を立ち上げたばかりの頃だった。
俺は、組に入ったばかりで下足番。
オヤジのお供で、本町界隈をブラッとしてたときのことだ。

怒号に振り返ると、あの野郎、血塗れになって、いきなり角から飛び出して来やがった。
ほんとに、腕っ節だけは、からっきしだったな。

相手は、本間会のチンピラども。
アイツだけだったら、オヤジも俺も、そのまま、素通りしたかも知れねぇ。
オヤジもまだ組を立ち上げたばかりで、本間会への挨拶回りも済んじゃいなかった。
敵同士なのに、挨拶回りってのも変だよな。
だが、オヤジは、そんなことでもキチッとする人だった。
だから、みんなに慕われたんだろうが……。

見過ごせねぇ理由があった。
アイツの足に必至にしがみついていた女の子。
小汚ねぇ服着て、顔もすすけていやがったっけ。
美羽さえ見つけなきゃ、俺もオヤジも、あの兄妹に関わることはなかったのかもしれねえ。
突き飛ばされて、すっ転ばされ、美羽は大声で泣いていた。
そんなのを見て、あのオヤジが黙ってられるはずがねぇ。
俺だって、そうだ。

オヤジが顎をしゃくったときには、野に放たれた猟犬みてえに猛然と突っ込んでたわ。
ガキの頃から、泣きながら親父に鍛えられたおかげで、腕っ節にだけは自信があった。
ずっと連んでたツレが、強かったってのも、俺が強くなった理由だがな。
あのバカとは、結局引き分けのままだ。
すぐに棒っ切れ振り回しやがるんだから、汚ねえ野郎だよ。

勝負は、5分とかかりゃしなかった。
ひとりは、死んだんじゃねえかってくらい、豪快に吹っ飛んだ。
オヤジから、しばらくケンカを御法度にされてただけに、あの時はスカッとしたぜ。

英次は、立てねえくらいフラフラになっていた。
だが、どう見てもケガはたいしたことはねえ。

「メシを食ってねえのか?」

オヤジもよしゃあいいのに、すぐに仏心を出しやがった。
あの時、ふたりをそのまま放っておきゃあ、オヤジも死ぬことはなかった。
俺だって、ここまで落ちぶれることは、なかった……。



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