過去のない女-8
――シホの部屋――
「行ってきまーす。」
コトリがようやく学校へと向かう。
集団登校だから、拉致される心配もそれほどないだろう。
それに、学校はすぐ目の前だ。
玄関の扉が閉まる音を聞いて、猛然とトイレに向かってダッシュした。
「おはよう」
シホの挨拶にも、脇目もふらず一直線に駆け抜ける。
ドアを閉め、便座を上げる、たったそれだけの行為が、ひどくもどかしかった。
すげぇ勢いで出た。
たいした量。
身体が芯から震えた。
ほっと安堵に一安心。
あぶねぇ……漏らすかと思った……。
ちょっとだけ、お漏らししたコトリの恥ずかしさがわかったオレ。
「朝ご飯、食べる?」
トイレから出ると、すぐにシホが訊いてきた。
まるで夕べなど、何事もなかったかのような顔。
昨日と同じパジャマ姿。
立っているシホの前に、不意にしゃがみ込んだ。
シホが、不思議そうな顔をする。
おもむろにパジャマのズボンを引き下ろした。
「キャッ!」
ノーパンじゃなかった。
でも、やっぱり派手な下着。
白のフリル付き。
「動くな……。」
小さく後ずさって、逃げようとしていたシホに、太い声で威嚇した。
シホは、その場に足をすくめた。
尻を掴んで引き寄せる。
ゆっくりと顔をめり込ませた……。
「タカ……君?……」
早くに起きてシャワーでも浴びたらしい。
夕べの残り香はなかった。
石けんのいい香りがする。
胸一杯に吸い込んだ。
そのまま、パンティの腰に手をかけた。
ゆっくりと下へおろしていった。
「ダ、ダメッ!」
シホが抗って逃げようとする。
「動くなっ!」
さっきよりも厳しい声で、抑えつけた。
脅えたような目を向ける。
夕べとは、まったく違う目つき。
かまわず、そのまま下ろして足先から抜いてしまった。
細い足が、わずかに震えている。
黒く淫らな炎のような陰毛が、下に向かって凪いでいた。
ひどく形のいいデルタ。
男の目を愉しませるために、しっかりと処理をしている。
そんな感じがしてならなかった。
また顔を近づけて、茂みを鼻でかき分けた。
「ダメ!」
シホが両手で頭を押しのけようとする。
豊かな尻を鷲掴みにして、鼻をめり込ませる。
下から身体を持ち上げるように、顔を押しつけた。
芳醇なメスの匂いが鼻孔に立ちこめ、たちまち脳を灼く。
「だめ……だめ…………。」
シホは、オレの頭を押しのけようとするが、その手には、あまりにも力がない。
口でどんなに抗ったところで、この身体は、男の求めを拒むことができない。
いや、拒むことを知らないのだ。
シホは、生まれながらの娼婦だ。
もう、わかっていた。
両足を抱え込んで持ち上げた。
そのまま寝室へと連れて行き、荒々しくベッドに放り投げる。
膝の裏に手を入れて、左右に押し広げる。
前戯などするつもりは、なかった。
どうしようもないくらいヤツが欲しがっていた。
やるよ。
指を添えて、無造作に押し込んだ。
「ううぅっ!!」
シホが、必死に口を手で押さえながら声を殺そうとする。
ひどく苦しげな顔。
お前は、いったい誰なんだ?
不安になると衝動的になるのがオレの悪いクセ。
いらん心配ばっかりさせやがって……。
腹の下にいるのは、謎多き女。
組み敷いているときだけが、自分のモノだと実感できる。
シホを虐めてやりたくて仕方なかった。
もっと苦しめてやる。
腰を大きく上下させ、長いストロークで責めつけた。
シホは、可哀想なくらい顔を歪め、声を出すまいと必至に息を殺そうとする。
夕べのように、吼えてみろ。
ほころんだ花びらが、いやらしく濡れ光り、オレのモノまでぐっしょりと濡らしていく。
ベッドが大きく揺れる。
ギシギシと激しく鳴る。
下の奥さん聞こえてる?
コイツは、こんなにいやらしいヤツなんだよ。
両足を肩に担ぎ上げ、折れるほどに身体を曲げた。
苦しげな顔の中から、救いを求めるような眼差しが向けられる。
もっと、苦しめ……。
泣き出しそうな顔を見つめながら、オレは、ゆっくりと体重を掛けていった……。