旅の始まり-17
<AM0140 シホの部屋>
シホに腕を引かれて、部屋に連れて行かれた。
「一緒に寝るんなら、大きい方がいいでしょ?」
シホのベッドは、セミダブル。
玄関を開けると、中には薄明かり。
さっきまでオレがいたときと、なんら変わらない。
違うのは、コトリがいないことだけ。
コトリは、隣の部屋で、今頃、楽しい夢の中。
引き戸を開けて、寝室に入ると中は真っ暗。
シホが、ずっと腕を引いていく。
ベッドを後ろに佇むふたり。
「どうして、あんな所にいたの?」
シホが、オレのジーパンのベルトを緩めながら訊ねてきた。
なんと、答えればいいものか。
うまい答えが見つからない。
ジーパンを下ろされ、シホが足下に跪いていく。
すぐに手が伸びてきた。
愛しいものに触れるような、熱っぽい触り方。
ゆっくりとトランクスが下ろされる。
弾け出すバカ息子。
シホは、当たり前のように、手のひらに包んできた。
ひんやりとした冷たい手。
「重丸さん?…………」
何も答えないオレに、下からシホが囁く。
答えを返す前に、ぬるりとしたものに包まれた。
温かくて柔らかい濡れた粘膜。
握りしめた手のひらと一緒に、シホが頭を動かしていく。
真っ暗な闇の中に響く、唾液を啜りとる、いやらしい音。
コトリとは、比べものにならないほど濃密な舌使い。
まるで命を持った生き物のように、舌がまとわりついてくる。
座れと言いたげに、シホが軽く腰を押してきた。
ゆっくりと膝を曲げ、オレは、そのままベッドに身体を横たえた。
仰向けになり天井を見上げながら、聞こえてくるのは、子犬がミルクを舐めるような音と、苦しげなシホの息遣いだけ。
彼女は、ボタンを外すと、自分でパジャマの前を開いていった。
もどかしげに脱ぎ捨て、ブラも外して捨ててしまうと、今度は、下も脱いでいく。
一糸まとわぬ生まれたままの姿になって、ベッドに上がってきた。
またオレのモノを口にして、そして、今度は、オレの顔を跨いでくる。
「舐めて……。」
目の前にあるのは、あどけない顔には似合わぬ、生々しく、ほころんだ花びら。
さっきまでのシホと、今のシホが、まったく別の人格に思えてならない。
顔を近づけていくと、芳醇なメスの匂い。
引き寄せられるように顔を埋めていた。
舌を動かしてやると、シホが細い声で泣く。
シホの愛液に、顔が濡れる。
もっとまみれたくて、シホの股の間で、遊びつづけた。
「ああ……はぁ……ああっ!……」
シホが、たまらないと言わんばかりに、声を上げる。
痛いほどにオレのモノを握りしめてくる。
飽くことなく舐めつづけて、シホを狂わせた。
次から次へと溢れだす、メスの匂い。
舌ですくって喉の奥に流し込んだ。
何度も繰り返した。
シホは、丹念に舌を這わせている。
丁寧に上から下まで舌を這わせて、愛しむように口付ける。
まるですべてを欲しがるように呑み込んでいた。
足を上げて、シホは、身体の向きを入れ替えると、自分で腰を沈めてきた。
オレに跨り、胸を併せてくる。
「あっ……あっ……タカ君が……守ってくれるの?……。」
オレにしがみつきながら、切れ切れの声で囁いた。
腰が、一定のリズムを刻んで、絶え間なく上下する。
主導権は、間違いなくシホにあった。
舌が伸びてきて、顔の汚れを舐め取っていく。
「はぁぅっ!……ずっと、守ってくれる?…………」
あどけない顔が、オレを見つめる。
不思議な表情だ。
シホは、どこか楽しそうに笑っているようにも見える。
つぶらな瞳が、ずっとオレを見つめていた。
「……守って、くれるんでしょ?……ずっと、守ってくれるんでしょ?……」
何から守ればいい?…………。
お前たちを狙っている襲撃者とは、いったい誰なのだ…………?
「一緒に、住もう!……そして……私たちを、守りつづけて!」
シホの腰の動きが速まっていった。
シホは、一心不乱に昇りつめようとしていた。
ベッドが軋む。
痛いくらいに、シホがしがみついてくる。
夢中になっていた。
シホは、狂ったように喘いでいた。
耳元の声が、大きくなる……。
オレは、知らなかった。
この女の過去に、あんな恐ろしい秘密があったなんて、まだ、その時のオレには知る由もなかった……。
下の奥さんに、聞こえてんのかな?……。