孤独な王様-3
「あんた、ダレ?」
「へっ!?」
「タカッ!!」
寝ていた影が、慌てて立ち上がる。
暗闇の中に、カチャカチャとせわしなく擦れる金属の音。
………………………。
お前ら、いったい、なにやってた?……。
灯りがつくと、目の前に派手なメイクをした少女が立っていた。
顔は派手だが、目鼻立ちに幼さがまだ残っている。
中学生くらいか?…………。
意外と背は高い。
ゴシックロリータ調、黒白ツートンのフワフワドレス。
頭には、金髪のヘアピース。
顔は、どう見ても日本人。
「タカぁ、来るならちゃんと、チャイム鳴らしてよぉ。」
後ろでアイツが、困ったような顔をしている。
「ケータイも鳴らした。メールもした。エントランスからインターフォンも押した。」
出なかったのはテメェだろ!
「えっ?、そうなの……。」
リビングに行って、すぐにアイツが戻ってくる。
「ごめん、ケータイ、バイブにしてた。」
ぜんぜん悪びれてない。
「で、インターフォンは?」
ちょっと、こっちはご立腹。
凄みをきかせて睨んでた。
「あ……押し売りがよく来るから、その……ボリューム落としてるんだ。ほとんど……聞こえないくらいに…………。」
最後の方は、お前の声もほとんど聞こえなかったがな。
さすがに悪いと思ったのか、アイツはバツが悪そうに頭を掻いた。
「兄貴、もういい?いいんなら着替えたいんだけど。」
アイツの後ろでロリータ娘が不機嫌そうな声を出す。
えっ?
アニキ!?
思わず目ん玉開いて、ふたりを見比べた。
アニキって……。
確かに、似てるっちゃあ似てるけど……。
アイツが上目遣いにオレを見て、さらにバツの悪そうな顔をする。
「はは、これ……オレの妹♪」
…………………。
い、妹って、あなた……。
明るい光の下には、生々しい痕跡がいっぱい。
丸めたティッシュが、そこら辺に散らばっている。
ゴミ箱の中身を、ちょっと上から覗いたら、丸めたティッシュと一緒に、コンドームまでありやがる。
それも、ついさっき使いましたと言わんばかりに、中身がたっぷり。
お前なぁ……。
いくらモテないからって……。
近親相姦なんて、初めて見た。
当たり前だけど……
すぐに着替えたらしくて、あのロリータ娘が寝室から出てくる。
やっぱり中学生。
見覚えのあるセーラー服。
オレの母校じゃん!!……って、同じ街に住んでるんだから当たり前か。
ちょっとスレた感じ。
改造したスカートは、股下くらいまでしかない。
パンツが見えそう。
はっきりとわかるくらい派手な化粧。
でも、意外と可愛らしいかも。
派手なメイクに彩られてはいるが、顔には幼さがまだありありと残っていた。
「お小遣いありがとう。」
ロリータ娘は、さっさと玄関で帰り支度。
お小遣い?
「また、足りなくなったら来なよ。」
「うん、そうする。じゃあね。」
オレには目もくれないで、帰っていった。
「ハハ、バレちゃったね。誰にも言わないでね。」
アイツはオレに向かって、照れ笑い。
まったく悪びれた様子なし。
だいたい構図が見えてきた。
自分の妹にサポかい……。
世も末だな……。