〈被虐少女〉-2
「キャアッ!?やあぁッ!!」
突然に愛は叫ぶ……首謀者がいきなりカーディガンの裾を掴み、一気に捲りあげてしまったのだ……鮮やかな青を見せるワンピースが露わとなり、カーディガンは枷が握り締めている手首に丸まった……。
『……さっき愛ちゃんは何回も「パパ助けてぇ〜」とか「亜季に触るなぁ〜」とか叫んでたんじゃねえかなあ?……なあ、それで誰か来てくれたか?パパとママが助けに来てくれたかあ?亜季ちゃんは助かったのかあ?イッヒッヒッ…愛ちゃんがいくら叫んだって、誰も来やしねえんだよぉ……』
ニヤニヤと笑いながら、首謀者は愛に絶望を囁く。
悲鳴は誰にも届かない。
助けなど来たりはしない。
人知れず両親に助けを求め続けた愛も、そして亜季も、孤立無援なのだと非情にも告げたのだ。
「やあッ!やだあッ!!」
今度はワンピースの背中にあるファスナーが下げられ、下に着ていた水色のキャミソールが露わとなった。
首謀者はキャミソールに浮き上がる紐状の突起を摘まむと、歯を見せながらニヤリと笑った。
『そうやって好きなだけ叫んでろよ?……フフッ…俺が愛ちゃんを“好き”って思う気持ちは、誰にも邪魔出来ねえんだからよぉ……ほら、どうした?もっと叫べよ……』
「ち、ちょっと離してッ!!嫌ッ…嫌だってばあッ!!」
キャミソールに浮き上がっているのは、愛の胸を守るブラジャーの紐である。
そのホックの部分を摘ままれ、今にも外されそうになっている……愛は上体を前後に振り、必死になって捩って藻掻いたが、やはり拘束は強固なままだ……。
「ふざッ…ふざけんじゃないわよおッ!!離せって言って……あ"〜〜〜〜ッ!!」
パシュッ…と、何かゴム紐でも切れたような音が聞こえると、ワンピースの胸元には大きめな弛みが生まれた……愛の危惧した通りにホックは外され、胸の防御は虚しくも崩された……。
『お?愛ちゃん今日はノーブラかあ?ブラの紐がドコにも無えじゃねえか?』
「なッなに覗いてんのよぉッ!!あぁッ!?嫌あッ!!触んないでよバカァ!!」
首謀者はキャミソールの襟首を摘まんで中を覗くと、ブラジャー紐の跡が残る背中を擦りだした。
滑らかな肌はジットリと汗ばんでおり、首謀者の掌はたちまちに濡れた。