Girl Meets Devil 〜そのV〜-1
最近、私の生活は随分と変わったようだ。
たった、数日前までは普通の人生だった。そして、これからもそれは変わらない。はずだった……
「おはよぅ…」
「おはよう。」
朝、キッチンでは一人の男が朝食をテーブルに並べている。
男の名前は神道恭夜。ただ、これは偽名で本当はルシファーといい、人間ではなく悪魔である。
何だかいろいろとあって現在、私の家に居候している。
「朝食は出来てるぞ。冷めない内に早く食え。」
「いただきます。」
我が家の家事のルールは交代制のため、今日は恭夜の当番である。
悪魔が朝から純和風の朝食を作っている光景はなかなかシュールだ。
しかも、料理に目覚めたようで楽しそうに料理をしている姿は少し可愛く見えてしまう。
「どうだ?味は……」
「うん。美味しい。」
「よかった。今日はな出汁を変えてみたのだが、成功のようだな!」
普段の少し偉そうな態度とは正反対の屈託のない笑顔には見せられるとつい、ドキッとしてしまう。
…って、何言ってんだ私はぁ?違う、違う!
落ち着け、落ち着け柊茜。今のは一時の気の迷いだ!コイツは悪魔だぞ!
「何を一人で遊んでいる?」
「あ、いや…何でもない…」
「そうか。では学校へ行くぞ!さっさと食え、馬鹿者!」
「うっさい!馬鹿悪魔!私は朝ご飯はしっかりと食べる派なの!」
「何だその流派は?馬鹿じゃないのか?」
「馬鹿、馬鹿言うな、馬鹿悪魔!」
「お前だって言ってるだろう。」
「もういい!あ〜、やばい!遅れる〜!」
こんな感じで最近の朝は過ぎていく。
少し前ならもっと静かな生活だったと思う。
それを考えると私の生活はかなり騒がしくなった様だ。
けど、こんな生活も悪くないと思ってる自分もいるんだよなぁ…
「何、ボヘ〜っとしている。置いて行くぞ。」
「ボヘ〜っとなんかしてない!」
まあ、騒がし過ぎるのもどうかと思うけどね…
「お前のせいで遅れるところだった。」
「私のせいじゃないでしょう!」
恭夜はそう言って靴箱に手を掛け、蓋を開く。
ドサリ……
「また、凄い人気で。」
落ちてきたものはもちろんラブコメに相応しく、5・6通のラブレター。
「何だ、妬いているのか?」
「違います。皮肉を言ってるんです。」
そうだよ。何で私が嫉妬しなくちゃいけないんだ。
ただ、ちょっと気にはなるけど、コイツが誰と付き合おうが関係無い。
私が嫉妬する理由なんかない…でも…