Girl Meets Devil 〜そのV〜-2
「安心しろ。俺は浮気なんぞせんから。」
「な、何だその付き合ってる事を前提にした様な台詞は!私と恭夜はただの同居人。それ以上でもそれ以下でも……ん?それもラブレター?」
私が気になったのは‐くれぐれも恭夜がラブレターをどうするかが気になったんじゃないから!‐数あるラブレターの中でも一つだけ異様な雰囲気を纏っており、それは、よく時代劇の中に出て来る【果し状】とか【決闘状】などと書れていそうな手紙だった。
「面白いな。中身はと…これもある意味このラブレター?に相応しい。」
その内容はというと、これまた流れる様な字体(筆)で【本日、午後五時、屋上にて待つ。】と書かれていた。
「面白い。気に入った!コイツに会ってみよう!」
「な、ちょっと待って!本気で言ってんの?」
「そうだが?あ、別に付き合いはせんぞ。面白そうだから行くだけだ。くっくっ…やはりヤキモチか♪」
「ヤキモチとかじゃない!もういい!勝手にしろ!」
「で、勝手にしろと言ったお前が何故ここにいる?」
「い、いいじゃない!私はあんなラブレター?を送る人が誰か知りたいだけ!」
「ふ〜ん。そうか♪」
今現在、時刻は午後五時少し前。
「とりあえず、差出人が来ているかどうか見てみるか。」
私も恭夜につられて少しだけ開けたドアから覗いてみる。
そこには流れる様に綺麗な黒髪を一本の三つ編みにしている美人が立っていた。
だが、その目は決して告白を前にして緊張をしている目ではなく、まるで試合前のボクサーの様だった。
カチャッ…
相手に気付かれない様静かに扉を閉める。
「…いくつか質問をしてもいいか?」
「…いいけど、答えられる範囲なら。」
「問1―アイツは誰だ?」
「多分…この学園の生徒会長『葛城 光』先輩。」
確か、四月の全校集会のときに壇上で挨拶をしていたような……
「問2―その生徒会長はどう見ても告白なんかしようとしていないのだが?」
「告白以外の用なんじゃない?」
「それもそうだな。では、問3―これが一番聞きたいのだが…」
「ここの生徒会長は野球部員か?」
突然、恭夜がおかしくなったわけじゃなく、生徒会長の手には確かに朱色の木製バットが握られていた。
「分かんないけど…野球部員ではなかったと思う。」
正直、私も何故バットを持っているのか全く分かんない。