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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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思い出の夜-2



「あれは人工衛星……。」

「えっ!流れ星じゃないの!?」

シホが、ずっと見つめていた視線の先にあった物。
はるか向こうから、夜空を横切りつづける光の点。

違います……。
地球を半周する流れ星なんて、聞いたことありません……。


夏の夜空を彩る奇跡の天体ショー。
ペルセウス座流星群。
7月下旬から8月下旬にかけての約1ヶ月間、夜中に北東の空を眺めていると、驚くほど多くの流れ星を見ることが出来る。
お盆の時期ともなれば、その数は最大に。
丁度今回の盆休みと、ピークの時期が重なっていた。

「絶対見たーーーいっ!!!!」

話しをしたら、コトリちゃん大乗り気。

「わたしもっ!!!」

シホさんも、同じ。

一度でいいから、ふたりに見せてやりたいと思っていた。
このオレですら、初めて見たときは、心底感動に心がふるえた。
自然が織りなす大パノラマ。
きっと、このふたりなら喜んでくれる違いない。

最も流れ星が多く見られるのは、夜中の2時くらい。
コトリちゃんも、一生懸命がんばってたけど、やっぱりそこは子供。
昼間の遊び疲れもあって、12時前にはダウン。
愛らしい寝顔で、ぐっすりと夢の中。
無理に起こすのも躊躇われて、シホさんとふたりきりで見ることに。
明日の朝、アイツのブー垂れた顔が目に浮かぶ……。

砂浜に毛布を広げて、ふたりで仲良く並びながら夜空を見上げてた。
今にも落ちてきそうな星空。
とてもロマンティックな夜。
明るい月だけがちょっと邪魔。

「どうして邪魔なの?」

シホさんにあんなコトや、こんなコトが出来ないから……。
じゃなくて、流星観測に不向きだから。

宇宙には、無数のチリが漂っていて、その中でも彗星が落としていったゴミを流星ダストと言う。
彗星は、ほとんど変わることのない軌道を維持して移動し続けるから、必然的に流星ダストも同じ軌道上を漂うことになる。
公転する地球が、その流星ダストの帯に近づくのが、この時期ってわけ。
流れ星は、ものすごいスピードで大気圏に突っ込んできた流星ダストが、摩擦熱で発光する現象だ。
真っ暗な空なら、かすかな光でも見ることが出来る。
でも、他に強い光源があると、流れ星はかすんで見えなくなってしまう。

「すごぉい!!なんで、そんなに詳しいの!?」

実は、高校に入学して間もなかった頃、廊下を歩いていたら、急に女の子に腕を捕まれて、理科室へ引っ張り込まれた。

「天文部に、入りなさい!」

新入部員の勧誘。
有無を言わさぬその子の迫力に圧倒されて、言われるままに入部届に名前を書いていた。

「天文部だったの!?意外ぃ♪。」

好きで入ったわけじゃない。
ただ、その女の子の迫力に負けただけ。
オレを勧誘した子は、1年上の先輩。
とても背が低くかったけど、チャーミングで可愛らしい子だった。
星のことなんか何もわからなかったオレに、一から教えてくれたのが、この女の子。
面倒見が良くて、みんなから好かれる明るい人だった。

「その子が、好きだったんでしょ?」

シホが悪戯っぽい目を向ける。

ああ、好きでしたよ!。
でも、その子との楽しい思い出は、そんなに持っていない。
その頃から空手三昧で、硬派で通していたオレ。
試合でもケンカでも臆したことは一度もなかったけれど、その子に告白する勇気だけは、とうとう最後まで持てなかった。
あっという間に、2年が過ぎて、その子が卒業してしまう日。
どうしても、このまま終わってしまうのが嫌で、最後の最後に勇気を振り絞った。
結果は、あえなく惨敗。

「ごめんね。付きあってる人がいるの……。」

知ってますよ……サッカー部のあいつでしょ……。
誰からも好かれる人だった。
みんなが、狙っているのも知っていた。
だから……成就するなんて、思っていなかった……。

「おいで……。」

うなだれるオレの手を引いて、彼女は、2階にある理科室へと、オレを連れていった。

「キミと初めて会ったのは、ここだったよね……。」

思い出の部室。
彼女と最初に出会った場所。
イスに座らされた。
卒業式が終わり、人の数もまばらになっていた校舎。
不意に、柔らかい手のひらに頬を包まれた。
近づいてきた、甘い匂い。
押しつけられた、しっとりとした唇。

「2年間がんばった、ご褒美……。」

きっと彼女も、オレのことは嫌いじゃなかったと思う。
空手とボクシングを掛け持ちしていた。
忙しかったけど、天文部だって、おざなりにしていたわけじゃない。
彼女に会いたくて、時間を見つけては理科室に通った。
オレを見つけると、彼女はいつも嬉しそうに笑ってくれた。
星の名前を覚えると褒めてくれた。
合宿で、一緒に夜食のおにぎりをつくった。
梅干しの代わりに入れたチロルチョコ。
廊下の影から当たりを引いたヤツを見つけては、ふたりでお腹を抱えて笑ってた。
気がつけば、彼女のお腹にしがみついて、泣いていた。
嬉しくて、悲しくて、寂しくて……。
バカみたいに、涙があふれて、止まらなかった……。


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