神様の陰謀-1
第7話 〜〜「神様の陰謀」〜〜
静かだ…………。
静かすぎる…………。
なにも、聞こえてこない。
普段なら、アパートの前を通りすぎていく車の音や、近所で吠える犬の鳴き声が聞こえてくるはずなのに、今夜はまったくそれが、ない。
目の前にある小さな膨らみだけが、すややかな寝息を立てていた。
コトリちゃんは、やっと落ち着いたらしい。
顔の赤みもだいぶ薄れ、苦しげな表情もしなくなった。
さっきまで、うわ言のように繰り返していたオレの名も、今はもう、呼んではくれない。
天使のような穏やかな表情で、彼女は、深い眠りの中にあった。
明日は、二日酔いかもしれない。
そんなことを考えたら、ちょっとだけ、おかしかった。
(やっぱり、親子って、似るのね……)
耳朶の奥に、残っていたシホのつぶやき。
何度となく頭の中でリフレインした。
顔を見ることさえも出来なかった。
シホも迷っているのか、あれから、なにも言ってこない。
気配を消そうとするかのように、オレの後ろで、じっと息を潜めている。
懈怠な時間だけがゆっくりと流れた。
どれだけの時間、二人は、そうしていたのかわからない。
先に動いたのは、シホだった。
頬が肩に乗せられ、心地よい重みが背中に預けられる。
「シホさん……。」
背中に伝わる、暖かい温もり。
鼻孔に立ちこめる、甘い香り。
耳に聞こえてきた、すややかな寝息……。
ん?寝息?
「ぐー……。」
ぐー!!!?