爆弾娘-4
練習が終わって、コトリちゃんは、下の更衣室にお着替えに。
オレは、道場で着替え。
コトリちゃんは、着替えを終えると、すぐに道場に戻ってきた。
愛想のない道着とは違って、ミニスカートにお洒落なTシャツ姿になると、メッチャ可愛らしい。
内蔵どこにあるんですか?ってくらい、お腹まわりが細い。
「なんだ?今日は練習していかんのか?」
着替えているオレを発見して、館長は不思議そうな顔。
子供達の練習が終わった後は、大人の練習時間。
いつもなら、オレもその練習に加わっている。
でも、今日はコトリちゃんと一緒に帰宅。
帰ってから、エロいことをたっぷり。
なんてことは顔にも出さず、「はあ。」と、気のない返事。
実は、道場にやってきたのも一緒だった。
オレとコトリちゃんは、晴れて同じアパートの住人に。
同じ所に住んでるんだから、一緒に来たってなんの不思議もない。
コトリちゃんのお母さんは、結構忙しい方。
「これからは、オレが送り迎えしますよ。」
もちろん、好青年風に。
こんな特典でもなけりゃ、コトリちゃんと同じアパートに住んでる意味がない。
オレの申し出に、最初は、お母さんも申し訳なさそうにしてたけど、最後は快く承知してくれた。
師匠なんだから、可愛い弟子の面倒をみるのは当たり前。
と、言うことにしておいて……。
館長は、オレが引っ越したことをまだ知らない。
この人には、子供の頃からずっと世話になってきた。
オレの家から、家族構成まで知っている。
だから下手な嘘は、通用しない。
聞かれたら答えよう。
敢えて言うほどのことじゃない。
そう、考えていた。
「今日ねぇ、コトリ、タカと帰るの。一緒に住んでるんだよ♪。」
それ、微妙に間違ってるから……。
あっさり暴露……。
君は地雷か?
頼むから黙っててくれる?
「なんだ、とうとう嫁さんにしたのか?」
んなわけねえだろ!ジジイ!
んなこと、間違っても言えません。
「最近、ひとり暮らしを始めたんですけど、たまたま引っ越した先が、コトリちゃんと同じアパートだったんですよ。」
顔色ひとつ変えないで、すらっと嘘つけるところがオレの腹黒さを物語るね。
「ほう、そうか。じゃあ、これからは、タカ先生が送り迎えしてくれるのか。」
「うん。」
館長は、終始にこやかな笑顔。
怒ると怖いが、普段は、子供達を温かく見守ってくださる優しい好々爺。
「コトリ、良かったの。」
コトリちゃんも、すごく嬉しそう。
館長も、コトリちゃんのお母さんが忙しいのを知っている。
お母さんの迎えが遅くなる日は、いつも館長がコトリちゃんの面倒をみていた。
館長からしてみれば、目に入れても痛くない可愛い孫娘。
そんな大事なものに、悪さしてるオレ。
バレたら、全身粉砕骨折は、必至。
「お先に、失礼します。」
ずっとオレの手を握って離さない爆弾娘。
危険な会話が飛び出す前に、さっさとバックれる。
「おお、タカ。」
不意に館長が、呼び止めた。
「どうせだったら、コトリの母ちゃんと、結婚しちまえ。」
…………………………
こっちのほうが、爆弾だった……。