野望の第一歩-1
第2話 〜〜「野望の第一歩」〜〜
「どうしても、行くのか?……」
苦り切った、親父の顔。
ああ、親父。オレは、行くよ……。
「ひとりで、生きていけるのかい?……」
悲しげな瞳が、オレを見つめる。
大丈夫さ、おふくろ。あんたの息子を信じてくれよ……。
玄関を開けた。
風が吹いていた。
まるで、オレの旅立ちを、後押しするように……。
「なんで今さら!?」
悲痛な叫びが、背中に突き刺さった。
許してくれ、おふくろ。
どうしてもオレには、やらなきゃならないことがあるんだ。
26年間、育ててくれて……ありがとう。
この歳になって、やっと見つけたよ。
やりたかったこと……。
オレの、生き甲斐……。
壮大な計画があるんだ。
何年もかかる。
でも……どうしても、やり遂げたいんだ。
そう……。
やりたいんだ……。
ヤりたくて、仕方ないんだ!!
コトリちゃんと♪
だから、家、出るね。
アパート借りて、ひとり暮らし始めるから♪
後ろで、親父が叫んだ。
「金がもったいないだろうが!」
――それが、本音かい……。