野望の第一歩-2
確かに、金はかかる。
でも、毎回ラブホに行くよりは、マシ。
心臓が持たんよ。
コトリちゃんが、教えてくれた。
「うちのアパート、空いてるよ。」
マジ!!
即契約。即入居。
コトリちゃんチは、ちょっと洒落た感じのアパートだった。
1階の端がオレの部屋。
2階の反対側にある端っこの部屋が、コトリちゃんの部屋。
「あら?」
引っ越しの日、荷物を運んでいたらコトリちゃんのお母さんに見つかった。
コトリちゃんは、せっせと、オレの荷物運びのお手伝い。
お母さんとは、面識があった。
まさしく、コトリちゃんにそっくりなお母さん。
当たり前か。
とても、綺麗な方。
ぎりぎり二十代。
オレと、三つしか違わない。
「どうして、こちらに?」
当然の疑問。
「いや……職場が異動になって……。その、こっちの方が近いので、それで……。部屋を探してたら、コトリちゃんが空き部屋があるって教えてくれて……」
しどろもどろ。
まさか、あなたのお嬢さんとヤるためです、とは、口が裂けても言えん……。
地方公務員なオレ。
確かに異動はしたよ。
水道課から、総務課へ。
隣の部屋に移っただけだけど……。
「あら、ほんとうに!大変ねぇ。」
はい……嘘つくのも大変なんです……。
「でも、なんか嬉しい。」
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「だって、先生みたいな人が近くにいてくれたら、心強いでしょ。最近、この辺りも物騒だもの。変質者とかも出てるみたいだし。コトリも女の子だから、やっぱり心配で……。」
――狙ってるのは、オレですが……。
コトリちゃんには、お母さんしかいない。
「だから、先生がそばにいてくれたら、安心だわぁ。これからも、よろしくお願いしますね。」
微妙に顔が引きつるね。
お昼時、コトリちゃんのお母さんが、ジュースを差し入れしてくれた。
「後で、部屋見せてね……。」
帰り際、お母さんが、耳元で囁いた。
あら、意外と好感触?。
オレ、お母さんでも全然ストライクです。
なんてこと考えながら、お母さんの後ろ姿を見送ってたら、いきなり足を踏まれた。
コトリちゃん、ふくれっ面。
どうして女ってのは、こんなことにだけは異常な鋭さを発揮するんだろね?
ヤキモチ妬いてるわけ?
男のひとり暮らしなんて、たいした荷物もない。
お願いした業者さんは、とっくに帰った後。
お母さんも2階の部屋に消えた。
もう、誰もいなくなった。
コトリちゃんを抱っこして、新たな城の中へ。
しっかり鍵を掛け、奥の部屋に向かった。
開封もしていない段ボール箱が山積み。
マットレスだけしか敷いてないベッド。
コトリちゃんを抱えたまま、倒れ込んだ。
腕の中にある小さな身体。
とても暖かくて、柔らかい。
「これからは、ずっと一緒だね。」
お腹の上に乗りながら、コトリちゃんが嬉しそうに笑った。
ほんとに可愛らしい顔。
二重まぶたの大きな瞳。
眼尻がちょっと下がり気味なのがチャームポイント。
いつも、長い髪をウサギにしていて、それが彼女のトレードマーク。
「エッチなこと、いっぱいさせてくれる?」
ウサギの髪をいじりながら訊ねた。
コトリちゃんは、ちょっと恥ずかしそうに俯いた。
「もう……してるくせに……。」
悪戯っぽい笑み。
本当に可愛らしい女の子。
こんな可愛い子に、これからは、好きなときにあんなことやこんなこと。
妄想膨らませたら下の方も膨らんだ。