Greenroom talk〜楽屋話-2
「知らなかった……」春菜が気まずそうに頬に手を当てた。「みんなけっこう気にしてたんだね、お互いのこと」
「春菜はそうじゃなかったの?」
「みんな、そういうことをとりあえず忘れて、芝居を楽しんでるのか、って思ってた……」
「心から楽しめなかったな。そういう意味ではなかなか悔しい」修平が言った。
「私、この企画がスタートした時点で、みんな割り切って楽しんじゃうんだ、って思ってた。私もケンに対する申し訳なさがなかったわけじゃないけど、結局夫婦交換でお互い様だし、って思って……。なんか私だけ淫乱みたいね」
「そんなことはないさ。単に俺たちが臆病者だった、ってだけで」健太郎が笑った。
「じゃあよ」修平がテーブルに身を乗り出した。「今度はお互い公認の上で、もう一回設定しねえか?」
「パートナー交換を?」夏輝が呆れたように眉を下げて言った。修平はうなずいた。
「ケンタもよ、今度は気兼ねなく夏輝と抱き合って気持ちよくなりゃいいじゃねえか」
健太郎は赤くなって夏輝と隣の春菜を交互に見た。「い、いいのか? そんな……」
「素敵ね」春菜がにこにこしながら言った。「今度はどこか、ゆっくりできるところで交換プレイしましょうよ」
「修平ってば」夏輝が横目で修平を軽く睨みながら低い声で言った。「春菜のカラダが病みつきになったの? もしかして」
「そ、そんなんじゃねえやい!」修平は赤くなって口角泡を飛ばした。
「ふわふわしてて気持ちいいんでしょ? 春菜の抱き心地」
「た、たしかに柔らかくてふにふにしてて……」
一同は大笑いした。
「じゃあ、僕の知ってるレジャーホテルを紹介してあげるよ」神父尊が言った。「みんなでたっぷり楽しめるよ」
「ほんとですか?」夏輝が言った。
「海の見えるちょっとしたリゾートホテルなんだよ。パートナー交換プレイ用の部屋もあるんだ」
春菜が言った。「え? それってどんな……」
「ベッドルームの様子を隣の部屋から見ることができる」
「やだ! 楽しそう!」夏輝が言った。「修平と春菜が絡んでるの、また見られるんだ」
「おまえ……」修平は顔を赤くしたまま口からカップを離した。「俺が春菜とヤってるとこ、そんなに見たいのかよ」
「うん。あんただってあたしとケンちゃんが愛し合ってるところ、見たいでしょ?」
「見たい見たい!」春菜が身を乗り出した。「ケンと夏輝、とってもお似合いだもの」
「な、なんだよお似合いって!」健太郎がコーヒーを噴き出しそうになりながら慌てて言った。
「画になるってことよ。二人の裸、とってもきれいで抱き合ってるところもドラマのシーンみたいだったもの」
「まったく、」神父尊が呆れ顔で言った。「みんな調子に乗っちゃって」
――the End
2016,02,05
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