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いつか君は、麻衣が嫁に行く時のことを思って涙ぐんでたよな。
とうとうその日が来たよ。
二人であの子の一番きれいな姿を見よう。俺は妻の写真をしっかりと掴んだ。
麻衣と腕を組んでバージンロードを歩く。
緊張して手足が同時に出そうだよ。君はきっと、そんな俺を見て笑うんだろうな。
ずっと前に、君もこうやって俺の元に来たんだよな。
君のお義父さんは寂しかったんだろうか。俺?俺は寂しくないよ。
だって、ずっと君の思い出と生きて行くんだからね。
君と一緒に旅行へ行こう。海を見に。二人だけで。
今でも、君を愛しているよ。
麻衣。幸せになれ。人生は思うほど長くない。
精一杯笑って、精一杯明るく、君の人生を生きろ。
そっと横を見ると、娘の耳には妻の形見のダイヤのピアスがきらきらと輝いていた。
終わり