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愛しい人へ
【大人 恋愛小説】

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1-6

「これからも月に1度くらいはデートしようよ」
帰り道そんな話をした。
「だって麻衣がいるのに」
「いいじゃん、お義母さんかおふくろに預けてさ」
「うーん、そうねぇ」
こんな風に外で妻を抱くのは新鮮だったし、まだまだ若い夫婦なのだから月イチでは少ないくらいだ。
「おまえだって、けっこう声出してたよ」
「バカ!」
思い切り背中を叩かれた。
「あ、パパ。麻衣にお土産買って行こう。ケーキがいいかな?」
駅前のケーキ屋を見つけると妻は小走りで店に入って行った。



 妻が眠っている。
おい、いくらなんでも寝すぎじゃないか?いい加減目を覚ませよ。
起きたら、またいつものように俺がコーヒーを入れよう。
いつものインスタントじゃなく、ちゃんと豆を挽いて丁寧に入れるよ。
俺は妻の寝顔にそっとキスをした。
その時、妻の目から一筋の涙が流れた。
なんだ、起きてるんじゃないか。ほら、早く目を開けろよ。


「パパ、私先に出るからね。もうキッチン使わないでね」
「わかってるよ」
ガスよし!電気よし!窓の鍵よし!指差し確認する。ママの癖をしっかりと引き継いでいるようだ。
「遅れないでよ。10時からだからね!ちゃんとママも連れて来てよ」
「わかってるって。早く行きなさい」
娘の麻衣は、大丈夫かなぁ?と訝しげに俺を見た。
「ママ、じゃ私行くね。パパをよろしくね」
そう言って手を合わせた。



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