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愛しい人へ
【大人 恋愛小説】

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1-4

「お祝い、どうしようか?」
「夫婦二人だから10だろうな」
「だよね。きついなぁ、ボーナス前だし」
俺の甥っ子の結婚式に招待された。もう同棲もしていると言う話だし、式なんて挙げなくてもいいのに、と言ったら「男はよくても女はね。やっぱり衣装着たいじゃない」
と笑った。当日は、妻の母親に麻衣を預けることになっている。
妻は招待状をもらった時から「何着て行こうかな。和装もいいけど、叔母だもんねー。ワンピースかなぁ?古い型のばっかりなんだなぁ」と悩んでいた。
自分の結婚式じゃないんだからさ。普通でいいんだよ。


 いい季節だった。
5月の晴れた日。久しぶりに二人で出かけた。
妻は結局、紺のワンピースにふわふわした上着(ボレロと言うらしい)を合わせ、久しぶりにダイヤの指輪とピアスをして浮き浮きしていた。
式はチャペルで行い、お決まりの披露宴。親戚や、会社関係のつまらないスピーチを聞いて流れ作業のように運ばれる料理を食べた。
新郎新婦の余興に声を上げて笑い、手を叩く妻。気づけば、うっすらと涙を浮かべている。
「どうしたの」
「ん、なんかね。いつかは麻衣もこうやって結婚するんだなって思ったら泣けて来た」
「まだ4つだよ。まだまだ先の話」
「そう思っても人生あっと言う間だよ?」
そう言う妻が、かわいいな、と思った。


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