投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しい人へ
【大人 恋愛小説】

愛しい人への最初へ 愛しい人へ 1 愛しい人へ 3 愛しい人への最後へ

1-2

 新聞に目を通し、パンをかじり目玉焼きを食べる。これが毎朝のルーティーンだ。
妻に連れられて麻衣がキッチンにやってきた。眠そうな顔で「パパー」と声をかける。
「おはよう。ご飯食べな」
麻衣にはトースト半分とソーセージ、ヨーグルト。妻は支度をしながら、残り半分のパンをかじって朝食は終わりだ。
「夕方から寒いんだって。暖かくして行きなよ」
「うん。はい、パパ。お弁当」
大判のハンカチでくるんだ弁当箱を渡してくれた。
「あ、俺今日部の飲み会。遅くなるから夕飯いらないからね」
「OK、気をつけてね」
「おう、じゃぁね、麻衣」
「ばいばーい」
麻衣が小さな手を振る。妻はこれから自転車の後ろに娘を乗せて保育園へ預け、駅前の駐輪場に自転車を置いて電車に駆け込む。
家の近くで働けば?と言ったが、一度正社員を辞めてしまえば二度と同じようには働けないからと、都内まで出て行く。会社にはなんとか17時上がりできるよう頼み込んだそうだ。

「リストラがあったら、真っ先に私かな」とよく口にする。
家なんか買わなきゃよかったのかも知れない。俺たちにはちょっと早すぎたかのかな、と時折思う。
しかし、子供の学費がかかるようになったらますます大変だ。
本当はもう一人くらい欲しいところだけれど、子供は一人で終わりかもしれない。


愛しい人への最初へ 愛しい人へ 1 愛しい人へ 3 愛しい人への最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前