出逢い-1
小学生の頃からピアノを習っていたyoukiは毎週「ザ・ベストテン」に釘付けであった。
saikoは毎週毎週1位で好きとか嫌いではなく、彼女の音楽が頭の中にインプットされていた。
20歳になる頃、なんとなくラジオから聞こえてきた聖子に
「あれっ?俺、saikoが好きだな?」
と気がついた。
テレビのスイッチを入れればsaikoが出演していた時代。
好きだと言う事には気がつかず、
「いい曲だなあ〜」
と聴き入るばかりだった。
祐希は45歳になり、初めてsaikoの日本武道館公演に足を運んだ。
saikoは52歳。
その圧倒的な歌唱力とステージワークにプロとして圧倒されていた。
「やっぱりこの歳になっても聖子が好きだ。しかし、saikoは雲の上の存在・・オレもニューヨークに渡ってグラミー賞を取る位の事はしなくてはならない」
祐希はいてもたっても要られす、遂にsaikoクリスマスディナーショーへと足を運ぶ。子47000円ものクリスマスディナーショーへと。
その歳に手紙とiPhone6を用意しボジョレーヌーヴォーと一緒にプレゼントとして届ける事を決意した。
「saiko様 私は40年間、あなたを見続けてきました。あなたの楽曲ならば弾けない曲はありません。
あなたのバックギタリストを務めさせて頂いたいのです。
あなたを愛しています」
手紙を添えてディナーショーの受付へと向かった。
それは必ずsaikoの手元に届くと言う事を知っていた。
クリスマスディナーショーは素晴らしかった。言葉が出なかった。動けなかった。
目の前にいる聖子に再び圧倒されてしまったのだった。
ショーが終わり、saikoの車が目の前にあるというのに出待ちする事すら出来なかった。
「なんて存在感なんだ。オレはプロとして情けない。一から出直しだ」
祐希は2015年12月25日にギターを抱え沖縄へと飛び立った。
「先ずは日本の南から攻めよう」
成田空港からジェットスターに乗り、3時間で那覇空港へと到着した。
宿は1泊1500円のドリトミー。畳一畳の部屋にギターと添い寝していた。
台所は名ばかりの「ユンタクルーム」となっている。
ドリトミーなのに禁酒。飲みながらのユンタク(語り合い)禁止なのた
「沖縄で禁酒でユンタク禁止なんてなんのために沖縄来たのか分からないよな。全くクレイジーな経営者だよ」
宿で知り合ったのは「稔、シュンシュン、リカコ」だ。
ささやかな歓迎パーティーと言うことで祐希も料理の腕前を振る舞った。
「オレさ、ミュージシャンなんだ。いつかクラプトンとsaikoとステージに立ちたくてさ、まずは沖縄から暴れようと思うんだ」
「いいわね、私は東京でヘアスタイリストの仕事をしているわ。何か一緒に出来るといいわね」