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淫乱ヒロイン2!【O−CLUB】の後継者
【SF 官能小説】

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ミヤコの願い-7

「それともう1つ、物体と人体の行き来は問題なかったけど、空気の震動と電気系統が伝わらないみたいなの」

人体に影響がないことは、好奇心に駈られたミヤコが、スタッフの目を盗んで手を突っ込んだことで実証されていた。

「マミちゃん、もう少しわかりやすく言ってくれる?」

「音を伝えることができないってこと。だから、こちらから呼び掛けても向こうに声が届かないのよ。口先だけ向こうに入れて喋っても、声の発生源の喉がこちらにあるから、声が伝わらないってわけ。電気系統も遮断されるから、向こうにスピーカーを置いても意味がないのよ」

タイムホールから見える範囲で確認すると、多くの木々が見えていた。それなのに、蝉の声が一切が聞こえてこなかったことからそれに気付いた。集音マイクをタイムホールに入れたことで、電気信号なども遮断されることがわかった。

「じゃあ、父に意思を伝えるには手紙を書いてタイムホールから向こうに落とすしか無いのね。それを父に読んでもらって、上から覗いてもらう…。そんなにうまくいくかしら」

「まあ、それはうまくいくと考えようよ。あと、実際にセックスするには、アクロバットしないといけないけど、何か方法を考えるわね」

マミが沈みがちなミヤコを励ますように元気付けた。しかし、実験の成功が、そのままミヤコの引退になることを思い出していて、さっきからマミの心の中では葛藤が渦巻いていた。

「大丈夫だよ」

マミは心の葛藤を誤魔化すように、もう一度ミヤコを元気付けた。

「そ、そうね、やってみないとね」

ミヤコはマミの言葉に応えるように、にっこりと微笑んだ。

そことき、今まで黙っていたケイコが口を開いた。

「お母さん、ちょっと聞くけど、この装置って、昔おじいちゃんが住んでた家があった場所にセットするのよね」

「そうだけど。だから核融合システムを小型にしたんじゃないの」

そのために、実家があった借家の土地は買い取っていたし、更に隣接する土地もを買収していた。

「ふう、だったら無理よ」

ケイコは一息を吐いてから、淡々といった。

「どうしてよ」

ミヤコは怪訝そうな顔をした。

「だっておじいちゃんの家ってあの狭かった家でしょ」

ケイコは子供の頃に、何度も遊びに行った家を思い浮かべながらいった。

「そう、あの家よ。狭くてタダシくんとセックスできなかったこと、いったことあるよね」

できちゃった婚のミヤコたちは、新婚時代はミヤコの実家で両親と同居していた。結局、ラブホテル代が高くついて意味なかったと、ケイコにいったことがあった。

「だからよ。だってあの家って平家だよ。3.1mの高さだったら天井の上の屋根裏。手紙を落としても天井板の上だから気付かないよ」

「あっ…」

ミヤコも気付いた。

「じゃ、じゃあ、何か物を落として、曾々おじいちゃんに天井裏に目を向けさせたら」

「それも無理だわ」

マミの助け船に、ミヤコが直ぐに首を振った。

「どうして?」

「今では信じられないでしょうけど、あの家にはネズミが棲みついてたの。天井裏で音がなっても、いつものネズミと思うだけだわ」

「ネ、ネズミ…」

マミの目が点になった。

「ねえ、タイムホールの高さの調整って、できないのかな?」

ミヤコがチーフスタッフのサクマに聞いた。

「地上を被う磁場の影響を排除できたら…。ですが、そうすると地球上のあらゆるシステムに重大な影響を与える可能性があります。そうなると、物理的にこちら側の平均地盤高さを下げるしか…」

「半径5kmよ。その範囲の地盤高を3.1mも下げれないわ」

ミヤコは現実的に無理だと直ぐに理解した。

スタッフルームが重苦しい雰囲気に包まれた。行き詰まりを感じたマミを含めたスタッフは沈黙した。

しかし、その重苦しい雰囲気を払うようにケイコが沈黙を破った。

「どうやら、結論が見えたようね」

「どういうこと?」

「実験は大成功、でもお母さんの願いには程遠い。今回の目的はタイムホールを作る以前に、お母さんの願いを叶えることでしょ。みなさんはお母さんのその思いに応えようと頑張ってくれていた。違う?」



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