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ヒューマン・ロール・プレイ
【調教 官能小説】

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〜 技術その5 〜-3

 朝に1回、夕方に1回の『給餌』と平行して行われる作業が『清掃』です。 生育、母乳生産に適した温度を保ち、病原菌の繁殖を抑え、換気に気を配り、小水を溝まで流し、除糞します。 『畜舎』内に設けられた溝にすべてを流し、ブラシで排水溝まで運ぶことになります。 合間に肛門にこびりついた排泄物や、肌垢も流してあげれば乳牛は清潔に保たれ、良質な母乳生産に繋がると考えられます。 ブラシでもって肌を擦ることも認められており、排泄物を片付ける前に一通りブラッシングしてやると、どの乳牛も一生懸命お尻をふって、中には肛門を開閉させることで、感謝の気持ちを伝えてくるそうです。

 ここで体重や前日の母乳生産量、肌艶や排泄物の色合いなど、それぞれの情報を整理・記録します。 全体を一括して管理しながら継続的な母乳生産を可能にするためには、それぞれが健常でなくてはいけません。 不調の兆しは見逃さない、これが『畜舎運営』の鉄則なんだとか。

 餌が消化される頃合いを見計らって、機械を用いた搾乳です。 何しろ『想像妊娠』で自発的に生産する母乳ですから、素人の手搾りでは、とてもじゃありませんが搾乳できません。 慣れた飼育員であれば、万力のような握力で容赦なく乳輪ごと乳首を圧搾し、凄い勢いで母乳を搾るそうです。 私たちが全力で握ったところでポタリとも垂れないことを踏まえると、飼育員の握力ってどれだけ強いのか、正直想像もつかないです。

 ということで『ミルキングパーラ』の出番です。 私たちがすることといえば、2つのパーラを垂れた乳房にセットするだけ。 あとはパーラが内部に真空をつくって乳房を吸い込み、特に乳輪部分に吸着するニップルリングで乳首を締め、乳腺で生産されたミルクを搾ってくれます。 ガラス製なため、白いミルクがパーラの容器にピュッ、ピュッと飛び散る様子が見て取れるといいます。 
 搾乳ノルマは1匹につき500mLなのですが、射乳に秀でた個体は軽々と1Lを超える母乳を生産するそうで、そういう乳牛はピューッ、ピューッと噴水のように母乳を噴くといいます。 一方でノルマぎりぎり、或はノルマに満たない乳牛。 パーラが吸引するときだけ、ピッ、ピッ、と申し訳程度に母乳を出すそうで、その場合どうしても長時間パーラを接続することになります。 パーラを外した後は乳房にくっきり痕が残り、吸い込まれていた部分は濃い紫に変色すると聞きました。

 搾乳が終われば、次は給餌。 そして12時間後を目安に次の搾乳が始まります。 この間、乳牛はケージの中で身体を捩ったり、筋を伸ばしたりはできますが、基本的には四つん這いのままジッとしています。 姿勢の変更やストレッチはありません。 だってケージだけが家畜の世界の全てですから。 屋外での運動が認められるようになるには、最低1000Lの母乳を安定生産し、優秀乳牛と認定されてからの話だそうです。 というわけで、室内でひたすら搾乳に備えるのが半人前(?)の乳牛の毎日で、そんな乳牛の生活を勉強することも『技術』の目的になります。

 こういった一連の作業に適宜参加するのが、『技術』としての『家畜生産』。

 仮に私たちが将来進路を『飼育員』にとった場合はどんな生活なのか。 また、私たちが学園のカリキュラムを落語して『Dランク』になった場合、どんな未来が待っているのか。 知りたくないけれど、知らなくてはいけない現実を垣間見せてくれる――先輩方の話をきくうちに、『技術』とはそういう教科なんだ、と朧げに理解できました。



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