兄の帰省-1
「オーマイガッ!」
と、スーパーの入り口付近にてオーバーなポーズを取る佐伯君。
「残念、でしたわねぇ。」
「うーん、毎週この時間帯やってるんだけどなぁー。」
苦そうな顔で頭を掻く。
彼との雪祭りを楽しんで一週間程し、予定が空いた私達。彼から急に「究極の豚まんに
会いに行かないか?」と、電話があり。
朝から行き成り「黄金の豚さんに会いに行かないか?」と誘われ、正直内容はあまり興味は抱かなかったけど、彼と一緒に居るのが大好きな私は、早速彼の元へ向かい。
どんなレアアニマルに遭遇出来るかと思いきや、スーパーの近くに居て。どうやら豚まん
のとっても美味しい販売車がこのスーパーに停まってるので、それを私にご馳走してくれる予定だったらしく…。
「そんなに美味しい豚さんだったのですか?」
「おいおい、何が楽しくて原始人みたいに狩りを行って生で豚を食わなければならないんだい?豚まんだよ、中華まんの。」
「中国製の豚さんを飼いに行くのですか?」
「出たよ、おとぼけタイム。」
「?」
彼とこうする時間が何より好きだ。
「このまま手ぶらで帰るのは嫌だなぁー。」
「そうですか?私は充分満足ですよ。」
「へ?…御免な、朝から呼び出しておいてこのザマで。」
「だからいいんですって。」
「仕方がないからコンビニの中華まんで…ん?」
不意に彼のケータイが鳴りポケットから取り出す。
「蓮?どーしたぁ。」
「今ヒマだよね?」
「日本語可笑しいぞ、何だよ今柊さんと美味しい豚まん食べようと思ってた所なのに。」
「地味だねぇー、それよりもっと良い物があるのに。」
「何だよ…、ふんふん、ほっ本当かっ!?分かった!勿論行く行く!」
急にパァと明るくなる彼、どうしたんだ…。
「あの…。」
「柊さん!」
「?」