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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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1-2

富岡はぷっと吹き出した。
「フーテンて。古いなぁ、編集長。今時そんな言葉わかる人いませんよ」
「心配するな、おまえには通じる」
エアコンが不快な音を立てる部屋に男たちの笑い声が響いた。


横須賀市本町。通称ドブ板通り。
米兵相手のパブが立ち並び、日本人向けのミリタリーショップやよこすかバーガー、海軍カレーと最近では観光地化している300mほどの商店街だ。
スカジャン発祥の地としても有名である。


被害者が14歳と言うこともあり、大々的な報道はされなかったが日米地位協定は何度となくその不平等さが問題視されていた。
今回富岡はこの事件を追うことになった。富岡は週間誌「スナイパー」の記者である。
調べていくうちに、容疑者スティーブ・ジョンソンには日本人の恋人がいることがわかった。その女に話を聞くために、富岡は横須賀にやって来たのだ。
初めは億劫だなと思ったが、乗ってしまえば都内から横須賀まで京急線で一本である。下りと言うことで電車もすいており、至極快適だった。
その店はドブ板通りの奥まったところにある、古いパブだった。「OLDIES」と言う店だ。
「日本の方歓迎します」と張り紙がある。ここは昼間から深夜まで営業している店が多い。
ドアを開けると薄暗い店内にカウンターと、立ち飲みテーブルが2つ。突き当たりにピンボールの台があった。外国人の男が二人カウンターに座って話をしていた。
入って来た富岡をちらと見たが、すぐに話しに戻った。
「いらっしゃい」
カウンターの中の女が声をかけた。
「何にします?」
「ああ、すみません。客じゃないんだ。こちらに倉田結子さんは?」
女は一瞬視線を落としたが、再び顔を上げた。
「私です」
富岡は少しばかり驚いた。ジョンソンはまだ23の二等兵である。目の前の女はどう見てもそれより年上だ。パブ勤めだと言うから、それなりの年齢だと想像はしていたのだが。
「Hey、You」
手前の白人が席を立った。かなり背が高い。富岡も年齢の割には低くないが、やはり適わない。
「What errands to Yuko?」
「あ、あー。ア、I……I want to talk to her」
「Hey,Tim。OK、I’m OK。Thanks」


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