早苗-1
早苗
私は早苗。趣味でクラリネットを吹いています。
祐希と知り合ったのは超初心者のジャズセッション。何でも祐希はプロだと言うけど、
本当なのかな?45歳の割には金髪だしチャラい。
打ち上げになり、気がつけば祐希は目の前に座っていた。
良く見るとなかなか好みのタイプ。でも・・
二日後に祐希に抱かれるなんて思っていなかった。
もともとお酒が好きな私は、酔うと楽しくなって記憶を失うまで飲んでしまう。
気がつくと私と祐希は上野駅にいた。
「明日デートしよう。場所は上野がいいな」
「上野だったら動物公園がいいな」
「オッケー!俺も動物大好きなんだ」
そう言うと祐希は優しくキスをしてきた。
朝まで飲んでかなり酔っていたけど、舌を入れてきたのを覚えている。
「‥もう始発で帰らなきゃ」
「そうだね。明日の13時にハードロックカフェの前で待ち合わせね。今日は楽しかったよ」
そう言ってその日は別れた。
翌日、私も少し早めに着いたけど、祐希は30分前から来ていたみたい。
「あれっ?どうしたの?」
「えっ?何が?」
「昨日より化粧が濃いよ」
「えー?そうかなあ?」
「オレすっぴんが好きなのに」
「あははっそうなんだ」
祐希は上野動物公園に来るのは30年ぶりだと興奮気味。
野鳥が好きでよく写真を撮りに行くみたい。
「少し休憩しようか。あそこに野鳥が来るよ」
公園でビールを飲んでいると祐希は変な話をする。
「ねえ人間ってどこから始まった思う?」
「うーんホモサピエンスでしょ?類人猿っていうの?あの猿みたいなの」
「そう教科書には書いてあったよね。実は嘘なんだ」
「えーじゃあ人間はどこから来たの?」
「人間は宇宙から舞い降りて来たんだ。オレはさ、沖縄の久高島が好きで久高の歴史について学んでいるよ。久高はね「アマミキヨ」が空から舞い降りてきて人類を創生したという言い伝えが残っているよ」
本当かどうかはわからないけど、祐希は真っ直ぐに瞳を見つめる。
「オレは嘘が嫌いなんだ。ラジオ番組は持っているけど、テレビは見ない。報道やテレビ、教科書なんて嘘の塊だよ。オレの言うことは信じない人もいるけど、じゃあ、アウストラロピテクスやネアンデルタール人の人骨が世界中のどこからも発見されてないのは知ってるかい?と問いただしたい」
「あ、そういえば私も宇宙というのは実は人間が考えている広さの倍以上あって、地球に似た惑星も沢山あると言う話を聞いた事があるよ」
「そう。宇宙の事や人類の歴史なんで真実は誰にもわからない。でも、真実を知っている人はこの世に存在するんだ。沖縄では久高島の他に3、4箇所に空から人類が舞い降りてきたという話がある。その話は個々に存在していてオレの研究の結果、それはほぼ同時に舞い降りて来たんだよ」
祐希は宇宙や人類の話になると夢中になり、動物園で楽しんでいる事なんか忘れている。
「あ、ごめん夢中になりすぎたよ。ゆっくり動物を観察しよう。」
パンダもゴリラも白クマものんびり観察した。
「もう飽きちゃった、飲みに行こうよ」
「そうだね、予約してあるから時間まで立ち飲みに行こう」
私たちは上野広小路にある立ち飲み屋で30分飲んだ後に祐希が予約した居酒屋へと向かった。
暖かい鍋を食べ、笑い話をしながら散々飲んだ。
「ねえ、私、沖縄でダイビングした事があるの。私もいつか沖縄に行く。待っててね」
「勿論だよ。空港でセックスだ」
「あはは、気が早いのね」
祐希はユーモアに満ち溢れていてロマンスに満ち溢れていた。
「カラオケ行きたい!」
「良いよ!オレは歌わないけど聞いてるね」
そう、祐希はプロミュージシャンだから簡単には歌わない。
「お客様、お部屋はどうなさいます?」
「ん〜なんだか分からないけど、このWベッドルーム?ってのでいいや」
部屋に入ると大きなベッドが置いてある。
「なんだか最近のカラオケは色んなものが置いてあるね」
私はお酒を飲みながら数曲歌ったところでキスの続きが始まった。
「ねえ、オレ、明日沖縄行っちゃうんだ。また帰ってくるけど暫く会えないからさ、エッチしようよ」
「ダメよ。わたしそんなに簡単じゃないもん」
「わかってるさ。出逢った時からそんなのは分かってる。だから口説いているんだよ」
私はなんだか複雑な気持ちのまま舌を入れてきた祐希を受け入れていた。
ベッドの上で激しく抱き合った後、私の耳元で熱い吐息を吐きながら呟く
「‥ねえ・・明日にはいないんだ。しよう」
私の首筋を舐めまわした後、胸を揉んできた。
私の性感帯は胸。
気がついた時にはホテルで裸になっていた。