今夜、七星で Yuusuke’s Time完結-7
「す、好きとか、そんなのないっ」
顔を火照らせて椿さんは動揺している。なんて解り易いんだ、この人は。
「俺は結構好きだけど?」
俺の正直な気持ち。
今まで目をそらし続けてきた感情。
面倒だと、自由が好きだと、フラフラその場凌ぎできたけどさ。
言葉にした途端、すとん、とあるべき箇所に収まったっつーか、この人が好きだって気持ちが満ち溢れていくようだ。
うわ、なんだろ。くすぐったくて。うわーってなる!
「ゆ、ゆーすけ君?え?な、何で笑ってるの?え?今喧嘩して、別れるって話じゃ」
「気付いちまったんだもん、しかたねーじゃん。椿さんだって俺のこと好きだろ?なあ、好きだって言ってよ」
ぎゅっと抱き締めて、叫びたい気持ちを押さえる。俺、椿さんを好きなんだぜ?
結構、好きなんだって言ったんだぜ?
うわ、なに俺。
キャラじゃないっつーの。
「す、好きとか、き、決めつけないでよっ」
いやいや、顔が赤いから。腕の中で全く抵抗しないし。
あー、もー、なんだよー!
くそっ、可愛いとか思うなんて!
「あー、もう、早く言っちゃえよ。好きだって。俺のこと結構好きだってさ」
「け、結構とか。あ、曖昧に人を好きにならないでしょ、普通!」
「え?普通の好きよりちょい上的なんじゃね?」
「え、ちょ、好きってそう言うんじゃなくて!この人しか愛せないとか、この人とずっと生きていきたいとか、そういう」
「あー、椿さんってほんっっと頭固いよねー!つか、重ッ!」
「ゆ、ゆーすけ君が軽すぎて曖昧すぎるだけ!っ、ぅん!」
やり取りを繰り返すのも大概に、ぽってりとした唇を唇で塞ぐことにする。
冷えきったお互いを温め合うように、角度を何度も変えて舌を絡ませ、
口内を至るとこまで味わい、銀糸が伸びるほど長いキスをした。
「俺のこと、もっと知って?」
キスの合間に本音が零れた。
そう、椿さんになら知って欲しい。俺の狡さも滑稽さもだらしなさも。先に見せたくないとこばっか見せてきたから、今度は違う俺も見て欲しい。
俺、を。
加瀬祐介を。