今夜、七星で Yuusuke’s Time完結-10
「俺も余裕ないってこと。だから、黙って」
首筋にまた、がりっ、と歯形を残す。キスマークなんて甘過ぎる。
俺の形を刻みたい。俺の膨れ上がった欲望の形を刻み付けたい。
「ね、それ痛いよ、っああっ」
痛めて、舐めて、傷付けて、味わって。
唇を下腹に移動させるまでに片手以上の痕が残り、痛々しくもあり、美しくもあった。
「なんで、そんな、、」
「俺のものって印。これでもう他のヤツとは寝れないから」
唇から腹の底の重たい石を吐き出した。ずっと気になっていた椿さんの影に、俺はどうしても負けたくない。いや、勝ちたいんだ。
「ゆーすけくん」
椿さんが俺の上腕を掴み、首筋に顔を埋める。
「っつ、た、」
がりっと首筋に噛みついた。これかなり痛い。いや、俺が言うのもおかしいんだが。手加減なしの噛み痕は多分血が滲んでる。
「わ、わたしだって、もうゆーすけくんが他にいくなんてイヤ」
潤んだ瞳と見つめ合い、互いに目を閉じて静かに唇を重ねた。
焦れている時のセックスは手順が煩わしい。
高まりきった自身を制し、既に潤っている中を指で掻き混ぜながら思う。
「もっ、、ああっ!……だめぇっ……」
ひっきりなしに漏れる喘ぎ声に、さっさと入れてしまいたくなる。椿さんだってそうだ。だらだらと粘液が零れ、軽い収縮が波のように繰り返している。
「ゆー、すけ、くんっ……っう…」
「俺が欲しいの?」
俺は欲しい。椿さんの体だけじゃなくて心も欲しい。
貪欲過ぎて自分でも嫌になる。
人を好きになるって、かなり面倒で自己満で鬱陶しい。
だけど。
「……っ。…うん、ほ、欲しいよ」
目尻を紅く染め、快楽でとろけた顔。真っ直ぐに俺を見つめ、甘い声をあげる。
それだけで、他になにも要らないくらい満たされる。そして、満たしてあげたいと思う。
人を好きになるって、幸せだ。
面倒さえも、幸せなんだ。
「椿さん、入れるよ」
スキンを被せた切っ先を、ぬるぬると滑る入口にゆっくりと押し当てる。
はじめの圧迫を押し退け、ずぷずぷと根本まで俺を埋め込む。
椿さんの目はきつく閉じられ、眉間にぎゅっと皺が寄っている。