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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴のラブラブ大作戦U-6

「あっ!記念撮影コーナーがある、行ってみよ!」
「うん。」

二人分の撮影が出来るコーナーに出向く彼女。

「すいませーん、撮影良いですかぁー?」
「はいっラブラブカップルさん!」
「まぁ、カップルだ何てそんな♪」

ナイスな気さくなオジサン従業員、カップルに浮かれる稲葉さん、しかし彼は相変わらず
無反応、否定すらしてくれない。

そしてそのままシャッター音がなる、明るい顔の彼女と暗い顔の彼。

「んもぅ、風馬君ったら。」
「そう焦るな、目的ってもんはそう簡単に上手くいったら面白くないだろ。」

どっちが焦ってるんだ。ワクワクしながらゲームでも愉しむかの如く渋いホット缶コーヒーを口にする。

「へぇー、ガチャガチャから魚の餌を買えるんだ、よーしっ!風馬君、買ってよ!」
「え?」

ナイス稲葉さん。あぁ私までうつってきた。

「…良いよ、はい。」
「違うー、小銭渡すんじゃなくて君が買うのっ!」

何を口にするでもなく彼女の指示に従う彼、まるで感情のないロボットのように動く。

「よし、じゃーあげてみよっか。」
「……。」

言われるがまま、魚に餌をあげる彼、その顔は全く楽しんでいない。

「いやー、さっきから彼女ばっかり提案してるー。」
「うーん。」

釣りや宝くじをやる人もこんな気分なのだろうか。ワクワク感がハンパない。

「おっ、地下のコーナーに行くぞ、追うぞ。」
「う、うん!」

人気のないゆったりとした場所、魚に関する豆知識やクイズ町の川を覗けれる窓がある。

「うわぁーキレイー、川の下ってあまり見ないよねー。」
「うん、そうだね。」
「へぇー、鮭の一生ってこうなんだぁー。」
「……。」

話掛けなきゃ絶対口を開こうとしない彼。

「2階で軽食コーナーがあるみたい、行ってみる?」
「そうだね、ちょっとお腹空いてきたね。」

どういう心境か、口数が少し増えた。

「階段昇ったぞ、行くぞっ!」
「はいっ!」

水槽に優雅に浮かぶお魚さん達を楽しむ家族が友人連れ、しかし私たちの目的は最後まで
別にあったのだった。

「軽食、色んな物があるねぇー、何が良い?」
「うーん、あっ、鮭まんだってへぇー。」
「私、飲み物買ってくる、何が良い?」
「ココア!」
「オッケー♪」

何だかいい感じ。

「ひぃーーひっひっひぃー♪」

東方の魔女と化す我が友人。

「はいココア!」
「ありがとうっ!」
「なーんか美味しそうね、お味はどう?」
「微妙…、でも美味しいよ。」
「へぇー、何かそう言われたら食べたくなってきた、すいませーん同じの一つ。」
「御免なさいねぇー、今ので売り切れなの。」
「そう、ですかぁー。」

肩の力を落とす彼女。

「……ん。」
「え?」

半分に割った鮭まんを彼女に差し出す彼。

「くれるの?」
「うん、ほら冷めないうちに。」
「風馬君…ありがとう!」

良い感じの空気。

「さっ、ストーカーは退散と行きますか。」
「うん!」

探偵だったり、刑事だったり…。安心した私たちは彼に気づかれぬよう粛々と水族館を後にした。

「扉の先に…。」
「うん?」
「扉の先に眺めの良い公園がある。」
「うん。」
「食べ終わったら見に行こう、僕と一緒に…。」
「風馬、君。……うんっ!」



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