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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴のラブラブ大作戦U-5

変わりばえ無く、大きな水槽に魚達が泳いでいるゆったりとした丁度良い暗さの馴染みの
水族館。

「お待たせー!待ったぁー!?」
「ううん、大丈夫。」

水族館で一人待つ風馬君の元に駆け寄る稲葉さん。

「良いぞ良いぞ♪出だしは順調のようだ。」
「巴ちゃん…。」

巴ちゃんの家で、彼女は話した。

「え?稲葉さんと風馬君をデートさせる?」
「そう!彼女にはアンタの方から行くよう説得してさ。」
「ま、待って!何でそんな事を…。」
「鈍いわねぇー、アンタあいつに未だ付け狙われてるんでしょ?」
「付け狙うって、そりゃまぁ、でも最近はそんな事しないっていうのは巴ちゃんも分かるでしょ?」
「うん、でもいつまた襲ってくるか分からないじゃない?」
「だからそんな言い方…。」
「だってこれはチャンスでしょ!?もし稲葉さんがあの野郎と付き合い二人が両想いに
なればさっ、アイツはもう確実にアンタに興味をなくしてついでにアイツも元気を取り戻して、稲葉さんだって恋が実って良い事だらけの一石三鳥!皆ハッピーさ♪」
「ううーん、それは、ちょっと。」
「何よー、消極的なんだからー、私何か間違ってる?」
「ちと、強引…。」
「強引なもんかっ!これも若葉の為なんだからねっ!」

それは分かるが、巴ちゃん何処か楽しそう…。

あの後、学校で再び稲葉さんと会い、案の定誘うよう言って見た。

最初は戸惑ってはいたものの、風馬君が好きな気持ちを全面的に申して、その日の部活で
彼を誘った。

「けど、上手くいくのかなぁー、稲葉さんはともかく風馬君が…。」
「興味ないって?ならどうして誘いに乗った訳?」
「うーん、確かにこれは初めの一歩を踏んだかも…。」
「でしょ?うーし、陰ながら応援していくべっ♪」

探偵の尾行の如く二人を見守る私達。

「お魚さん、キレイだねぇー。」
「そうだねぇー。」
「……風馬君は、どんな魚が好き?」
「別に。」
「……。」

盛り上がらないデート…。

「あぁんの野郎!折角彼女がデートに誘ったってのに。」
「落ち着いて、巴ちゃん!」
「ったく!誘いに乗ったんじゃなかったのか!絵の提出に困ってた彼女を助けたんじゃ
なかったんかっ!」
「うーーん。」

やっぱり、乗り気じゃなかったのだろうか、あの親切だって本当にたまたまで。

「ほらっ、タッチプールだって、触ってみようよ。」
「いやいい。」

風馬君ったら…。

「くぅーー、頭に来るぜっ!若葉以外に眼中がないってかおいっ!」
「それにしても。」

巴ちゃんじゃないが、あの二人には恋人同士になって欲しい。あれ、でもこれってまるで
動物園で巴ちゃんそれに一条君が私と佐伯君をくっつけようとしたのと酷似してる。

風馬君も、少しは分かったかな…君も同じ事をしてたんだよ。

「そんなの関係ないっ!今は二人が距離を詰めるかどうかでしょ!」
「!何で、私の考えてる事が…。」
「くっそぅー、このままでは俺様の野望がっ!」
「……。」

やっぱり楽しんでる…。そう言ってお揉むろにケータイを取り出し電話をする。

「!っ御免風馬君私ちょっとトイレに行ってくるね!」
「うん。」

と言って、トイレとは全く逆方向へ走っていき、私達の方へ駆け寄ってくる、無論風馬君はそれに全然気づこうともしない。

「何してんのよっ!もっとアタックしないと…。」
「すみません…。」

何だ、ボスとその手下か。

「でも、私がどんなに頑張っても彼、全然相手にしてくれなくて。」
「うん、それは私たちも見てた…、ったくつくづく憎たらしい男ね、若葉の時とはまるで
正反対。」
「部活の時はそれなりに会話してくれたのに。」
「稲葉…さん。」

やっぱり、無理だったのか。

「おいおーい!なーに弱気になってんだよっ!」
「でも…。」
「お前アイツの事が好きなんだろ?だったらこの機会を逃す手はねーだろうがっ!」
「巴ちゃん…。」
「グイグイ攻めていきゃーチャンスは恵んでくるってばよぅ!ほらっ行って来いっ!」

と、稲葉さんの背中を押し、リベンジを促す。

「うーし、俺ちょっとコーヒー買ってくる、お前も飲むだろっ!?」
「う、うん。」

男性化した巴ちゃんは更に事を盛り上げようと自販機へ急ぐ。




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