情けはいらない…-5
人気のない中庭、まるで私たちに合わせるかの如く空がどんよりと曇り始める。
「どーゆー事、朝のあれ。」
「は?」
汚い物でも見るかのように渋い顔で佐伯君見つめる。
「…助け何て、まして君に何か。」
「ちょっと、何よその態度…、あのままだったらアイツら暴走して本当の事が知れる所だったのよ。」
「どうしてあんな真似したんだっ!下らない情け何て不要だ!」
「情け?…俺はただ彼女の為にしたんだ、この前お前がイルミネーションでタクシーで
救ってくれたようにな。」
「……。」
良かれと思った行動、だけど彼からしたらとてつもなくお節介だったようだ。
「とか何とか言って君らだろ?あんな落書きしたの、満足でしょ?」
「違う!私たちはそんな事っ!」
「じゃー他に誰がやるっていうんだっ!あんなの当事者でしか知りえないだろっ!」
そうだけど、というか。
「過ぎた事、くよくよしたってしょうがないでしょ!」
「っ!!……。」
これ以上は議論にならないと罰悪そうにこの場を去る彼。
「風馬…君。」
あんな彼だけど、やっぱり心配だ。
「……。」
惨めに小さくなっていく彼の背中にじっと視線を置く私。
そんな私をどこか寂しそうな顔で見つめる佐伯君。