Yuki:「肌のキャンバス」-2
瑠奈は靴を履きかえて、俺の傍へと歩いて来る。
「瑠奈ちゃん?瑠奈ちゃんも徹夜組?」
「ううん、もう終わり。私たちのクラスは縁日だから、特にすることもないしね。」
瑠奈の姿を久しぶりに見て、俺の頭の中に夏休みの刺激的な日々が蘇ってくる。
「勇樹くんは、徹夜組なの?美術部って、いつも徹夜組みたいだし…。」
どうやら、美術部が毎年徹夜をして作業をしていることは、昨年の陽を見て知っていたようだった。
「そうだよ、今大分落ち着いたかな。飯でも買いに行こうと思って。」
「そうなんだ…、お疲れ様。途中まで一緒に行こうか?」
瑠奈と俺は、通学路の途中にあるコンビニまで歩いて行った。
俺は、飲み物とおにぎりを数個買って、瑠奈も自分の飲み物を買って、コンビニを出る。
「勇樹くんには悪いけど…、学校に泊まるなんて、ワクワクするよね。私たち、来年受験だし、きっとこんなことできるのなんて、今年が最後なのに。クラスの人たちと一緒に泊まってみたかったけど…担任の先生は、泊まる必要はないから帰りなさいって。ちょっと残念…。」
瑠奈はそう言って、ペットボトルのジュースを口に含む。
「まぁ、ほとんどのクラスはそうなんだよね。一部の部活とかがやってるだけでさ。みんな思い出になるから、面白半分で泊まってたりするんだよね。俺も、そんなことやってみたかったけど、美術部は毎年かつかつだから、それどころじゃないしね。」
思い返すと、去年は陽と一緒に泊まって作業をしていたことを思い出す。
あの頃は、まだ陽のことを「陽先輩」とか言ってたっけ。
「去年は、陽と一緒にやってたんだよね。忙しかったけど、楽しかった。でも、今年は俺の作業が大分遅れちゃったから、今一人でやっててさ…。そんな時に他のクラスが楽しそうにしているのを見ると、なんだか寂しい気持ちになるよね。」
そう言うと、
「え、今年は勇樹くん一人でやってるの?後輩たちは?」
と瑠奈が聞いてくる。
「後輩たちは、明日残って作業をするみたい。まぁ、俺が一番作業遅れてるし、しょうがないよね。」
瑠奈は飲んでいたペットボトルをカバンに入れる。
「ねぇ、勇樹くんはどんな作業してるの?」
と、俺の方を見る。
「今、門の柱を作っているところだよ。」
「じゃあさ…私もちょっと手伝うよ。今日は、遅くなっても平気だし…。それに、勇樹くんが美術部で何やってるのか、見てみたかったんだよね!」
そう言われて、俺は瑠奈にでも手伝えそうなものがないか考えてみる。
色塗りの手伝いはさせられないが、受付などに使うペーパーフラワーを作ることぐらいはできるし、人手がちょうど補えると気付く。
「じゃあ、ちょっと手伝ってもらおうかな。」
「やった!私、実は美術部の部室に行ったこと、あんまないんだよね。勇樹くんがどんな絵描いてるのか、気になってたんだ。じゃ、行こっか。」
そう言って、瑠奈は学校の方へと歩き始める。
あっ…やばい。
瑠奈の後ろを歩いていた俺は、瑠奈のスカートや、太もも、脚、腰のラインに目が行ってしまう。
最近忙しすぎて、瑠奈のことを考えることも少なくなっていたが、この後ろ姿を見ているだけでも、色々な想像ができてしまい、それを止められなくなる。
夏の炎天下の中、太ももにつけたキスマークは恐らく消えてしまったのだろう。
今日は何色のショーツを履いている?
瑠奈はあれからオナニーしたのかな?
「ん?どうしたの?」
そんなことを考えていると、いつもより歩くペースが遅かったのか、瑠奈がこちらを振り向いて様子を見ている。
極めつけは、やっぱりこの制服の上からでも分かる、卑猥すぎる大きな乳房。
首元に、ネックレスがついているのを見て、あの下着の写真を撮っていた日のことを思い出して、下半身が疼く。
「なんでもないよ。」
美術部の活動が、俺の性欲に歯止めをかけていたが、性欲の原点である瑠奈の体をじっくり見てしまったら、もう止められはしない。
瑠奈という人間は、ただ制服を着ているだけなのにも関わらず、性欲を最大限まで高める。
最早、歩いているだけでエロいとすら感じる。
俺の頭がおかしいのか、禁断の果実を実らせた瑠奈の肉体が罪なのか。
ただの手伝いで、瑠奈を返すつもりは、俺の頭の中にはなかった。
俺は、制服を身に着けた瑠奈の太ももや乳房を舐めるように見るのと比例するかのように、無意識に自分の唇を舐めてしまっていた。