〜 音楽その1 〜-5
……。
「たまには『にっく』もお手本みせてください〜。 はい〜『ホイッスル』〜」
「うわ、『つう』まで『にに』みたいな事言いだした」
「いいじゃないですか〜。 アヌスだったら、あたしより『にっく』がお上手ですもの〜」
「一応、下手じゃないつもりではいるけどさ……確かに、つうばっかりにやらせちゃってるし、『ホイッスル』なら、まあ何とかなるかぁ……」
「久しぶりに勢いがある『ピーッ』が聞きたいです」
「はいはい。 せいぜい頑張りますよ」
そういって、【B29番】先輩は【B22番】先輩からプラスチック製と思しき『鼓笛』を受け取ります。 それから箱の底を探り、透明ガラス製のシリンダーを取り出しました。 私たちに向き直って説明してくれましたが、いかにもしょうがなさそうで、気乗りしない様子に見えました。
「これが『ホイッスル』ね。 楽器っていうほど大層じゃなくて、音は『ピー』って鳴るだけ。 音楽の授業で『3・3・7拍子』があって、それを『ホイッスル』で鳴らすんだ。 ピッピッピ、ピッピッピ、ピッピッピッピッピッピッピ……ってね」
聞いたことがあります。 幼年学校時代の体育祭で、応援合戦でエールを交換した時、確かこんなリズムで腕を振ってました。 リコーダーや鍵盤ハーモニカと違い、随分簡単そう――そう思った矢先、
「ただし、吹くのは口じゃないよ。 鼻でもない。 そうなんだよね、ここで、お尻の『エイナス』で吹くんだ……うんっ!」
シリンダーいっぱいに空気を入れながら腰を屈め、先端のノズルをお尻にあてる【B29番】先輩。 私たちみたいにノズルを口に含み唾液で濡らすこともせず、いきなりズブリ、です。 Bグループの先輩方にとっては、これくらい当たり前なんでしょう。
「どれくらい入れたらよかったっけ? 3L……いや、4Lはいれたかなぁ……つう、覚えてる?」
「あたしだったら〜2Lがやっとでした〜」
「ウソぉ、それだけ? 失敗したらどうすんの?」
「だって〜2L以上入れるの大変なんです〜」
「そうなんだ。 なら、私は3Lにしとこう……っと」
そういう間に、最後まで入れて空っぽになったシリンダーをお尻から抜く【B29番】先輩。 つまり既に空気を1Lお腹に溜めたわけです。
「空気の量は個人差があるから、一概にどうこうはいえないかな。 ただし、リズムの途中で空気が足らなくなったら、もう一回最初からやり直しになる。 少し多めに入れとくほうが無難と思う」
グイッ、シリンダーに空気を装填した直後、お尻でもって跨ぎます。 グググッ、押し込む調子に合わせ、心なしかお腹がぽっくり膨れたような気がしました。
「んん……んっ、と。 これで2本目。 あと1本なら余裕でいけるかな」
ぬぷっ。 抜いた瞬間、ギュッと収縮する灰色の蕾。 空気浣腸直後の、プスッというすかし屁は、先輩には縁がありませんでした。
こうして3本目も全部お腹に納めた先輩は、その場で床に仰向けになりました。 足を開いてお尻を持ち上げ、真上から肛門、膣、乳首に顔まで一目瞭然の体勢――マングリ返しに似た『第5姿勢』です。 広がったお尻の割れ目の中心には、空気を漏らすまいとキツく収縮したオケツの穴が、ピクピクかすかに震えていました。
「音をみんなに聞こえるようにしなきゃだから、こうやってエイナスは真上に向けること。 普段よりも、もう一歩腰を浮かせるといいよ。 エイナスが隠れないように、足はしっかり開きなさい。 こうしたら手で開かなくてもエイナスが見えるからね。 わかった?」
「はい!」「はいっ」
「よし。 それじゃ左手で身体を支えて、右手で『ホイッスル』をエイナスに近づけて……と。 深く入れるとすぐにガスが抜けちゃうし、かといって入れなかったら音はでない。 ここで気を抜いて間違えると、ホイッスルどころか臭いオナラで終わっちゃうから、最後まで油断しないように」
なるほど……言われてみれば納得です。 事前に先輩から教わっていなければ、実際の授業だと何も考えずに深く挿して、せっかく溜めた空気を全部逃がしてしまったかもしれません。
「はい!」「はいっ」
私たちの返事に応じるように、先輩の肛門が、ぷくっ、一段盛りあがります。 『ホイッスル』の先端をアナルにつけて、ぐりっ、捩じこむように押しつけました。 ところが肛門の締めつけが思ったより固いようで、中々先端が入りません。
「ん、んん……ふんっ」
しばらくして、先端がわずかに肛門にめり込みました。 すかさず先輩が、
「いくよ、よく聞いてよ……んうっ」
声を息ませ、お腹がビクンと蠕動します。 途端に肛門の皺が伸び、
ピッ、ピッ、プッ。
濁った、それでいて笛と分かる鋭い音色が先輩の肛門から産まれました。
ピュッ、ピッ、プピッ。
一定のリズムを刻みながら、灰色の肛門がイソギンチャクのようにうねり、締まります。
ピッ、プッ、プピッ、プッ、ピッ、ピィッ、ブピッ。
音色は毎回様々だったものの、リズムだけは完璧な三々七拍子。
「っく、ふぅ、はぁ、はぁ……はぁ」
出し切った先輩は寝転がった第六姿勢のまま、肩で息をしていました。 いえ、この場合はお尻で息をしていた、というべきでしょうか。