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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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俺だけをみて!-1

唐揚げ揚げ芋フライドポテトコーヒーにソフトクリーム、と首を上に向ければ目に入る
サイドメニュー。更に首を横に向ければ、かつ丼ラーメンカレーライスなどが販売して
いる食券機が目に入り…。道の駅、という所にあまり行かない行く理由もない俺にとっては全てが斬新に見え、未だどうしてここが道の駅という名なのかその由来に頭上にクエスチョンマークを浮かべるばかりで。

「しかしまぁそんな所で喰う肉まんもまた格別だなぁー。」
「んもぅー、あたるったらぁー。」

柊さんのお爺さんが2時間以上にも及ぶ運転に伴う疲労を回復しようと立ち寄った高速道路にある道の駅。お爺さん自身はまだ行けるっ!と唇に力を入れるも、祖父想いの彼女が
多少無理にでもここへ寄ろうと勧め、巴もその意見に上乗せし今に至り、やっぱ高齢だからな、下手に続けてせっかくの正月旅行が事故になっては初笑いにもならないし、何より
祖父を少しでも休ませてあげたい、彼女らしい優しい気遣いだ。

それに引き換え俺と来たら早くホテルに着きたいからって寄り道をされて少し罰悪く、それでもサイドメニューから好物の名があった事に急に眼を輝かせ間髪入れず頼んでしまい

「ホテルに着いたらビッフェ…、バイキングが待っているってのに…バカだなぁ。」
「それだって早くて夕方だろ?それにこういうのは衝動的になった方が楽しいだろ。」

単独で肉まんを頬張る俺に対して連は無料の水だけ飲みやがって。

交通情報や天気予報などが知れるサービス機が設置されていたり、隅には大きな観葉植物があったりと中々心躍らせる場所だなぁーと感心する。

その横にはお土産コーナーが設けておりこの場所ならではのご当地菓子などが並ばれており、無論食べ物以外にもキャンドルにネックレスビーズなども飾られており。

「このネックレス色めっちゃキレー♪若葉、ちょっと良い?」
「は、はいこうでしょうか?」
「うわぁー、めっちゃ可愛いー、お姫様みたーい。」
「おっ!そらっシャッターチャーンス♪。」

お洒落を楽しむ女子二人にお土産袋を下げた柊さんの祖父がすかさずケータイを向け。

「お、お爺ちゃん。」
「こりゃー、また店に写真を飾らなくては。」

彼の孫への溺愛っぷりは未だ健在のようだ。

「良いではないか、旅の思い出が出来てさっ、で?アンタは何買うの?」
「はい、私はこのストラップを、後ご当地のクッキーでも…。」

彼女が掲げるストラップはテレビや店でよく目にする「妖○ウォッチ」で、彼女は以外にも好き?らしく。

「でもそのクッキーはどうするの?まさか自分用?」
「あーいえ!お友達に差し上げようかと。」
「友達って…。」

引っ込み思案な彼女に俺ら以外に友人がいたのか?

「はい!私吹奏楽部に所属しているのはご存知ですよね?そこで精一杯頑張っていたら
他の部員の方が声を掛けてくれて…。」

彼女は根が真面目で頑張り屋、恐らくそんな彼女に他の部員達が気に入って。

「柊さん、とっても上手ー、今度あの音の出し方教えてーって皆さんおっしゃってくださって…。」
「……。」
「だから学校に戻ったらこれを部員の皆様にお配りしようかと思って…。」

一同開いた口をが塞がらずにいたものの、少しの間の後。

「…良かったね、若葉。」
「巴ちゃん。」
「フフ。」
「一条君。」

穏やかな笑みを浮かべ、友人の成長を暖かく祝福する。

自分で言うのも何だがその中で一番嬉しく思ったのはこの俺だ。



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