俺だけをみて!-7
それからお爺ちゃんも腰はすっかり治り、楽しい旅は早くも終わりを告げた。
車内では私と当然お爺ちゃんが起きており、他の皆は旅の疲れから眠っている。
「いやー、楽しい旅行だったのぅー。」
「うんっ!ごめんねそしてありがとうお爺ちゃん無理して皆を連れってってくれて。」
「なーに、わしはまだエネルギッシュさね!こっちも楽しかったし、普段引っ込み思案な
お前を大事にしてくれるお友達に良い思い出を届ける事が出来て本当に良かったわい。」
とても満足気な顔、やっぱ旅行は皆が楽しくものさ。
「疲れたらちゃんと道の駅に寄るのよー。」
「わぁとるばぁい、それより楽しみだのうーお土産。」
「うん、お土産も旅行の楽しみの一環だね。」
「あぁ、風馬君、どんな顔するだろうね!」
「っ!風馬…君。」
またその話をする、何て。
「やっぱ友達以上だもんな彼は、幼馴染だし。」
「……。」
「そーだぁ、今度うちに呼ばないか?丁度美味しい果物でも。」
「やめてっ!」
「!?」
張り詰めるような声で祖父を睨む。
「な、なんじゃ?だって彼は友達…。」
「友達何かじゃ、ない。」
「若葉…。」
私と祖父に流れる車内からの重い空気。
「お爺ちゃんの気持ちは受け取るよ、でも色々あるの…だから。」
「…分かった、うん。」
「有難う。」
こうして正月旅行は終わった。
私の横で可愛らしい寝顔を見せる佐伯君。
一条君の話を聞いて私は改めて幸せ者なのだと気づき。
その無邪気なほっぺにキスをする…。
次回、20話に続く。