『月陽炎~真章・銀恋歌~』-33
34 『くッ……へ、変に……変になっちゃうっ!き、きちゃ……う……よぉッ!』
柚鈴はそろそろ達してしまいそうだ。
ならば私も……と、悠志郎は今まで以上に激しく腰を使い始めた。
台所に響く肉と肉のぶつかる音と、溢れて床に垂れ落ちる柚鈴の淫蜜が奏でるいやらしい旋律が、悠志郎たちを淫らに酔わせていく。
『お、奥に……奥が……いい……の……ッ……気持ち……いいのぉ』
『可愛いですよ……柚鈴。ようやく素直になりましたね』
悠志郎は柚鈴に応えるべく、ここぞとばかりに動きを速めていく。
柚鈴の内部に刺激され、あっという間に射精感が込み上げてきた。
『柚鈴……いきますよ』
『あ!や……やぁッ!だ、駄目……今日は……あ、危ない……から……』
その動きから、悠志郎が中に射精するつもりだということに気付き、柚鈴は身体を捻って拒否の言葉を口にした。
だが、悠志郎は今更外に出すつもりなどない。
子供ができたらできたで構わないという心境であった。
『駄目です。中に出します』
断言するように言うと、悠志郎は最後に数回、強く打ちつけるように腰を使って柚鈴の中で達した。
その感覚が分かるのか、柚鈴は背筋をのけ反らせて身体を硬直させ、ビクビクと尻を震わせた。
『や……あっ!悠志郎……さ……す、す……ごいぃ……あああっ!』
まだ達していない柚鈴のために、悠志郎は射精途中の肉棒でさらに突き上げてやる。
途端、肉襞が今まで以上に肉棒を締め付けてきた。
射精の途中が故に、悠志郎はもう腰砕け寸前であった。
柚鈴がぶるぶると絶頂に身を震わせる様子を見つめながら、悠志郎は最後の一滴までを彼女の中に注ぎ込んだ。
『あら、ふたりともどうしたの?』
社務所に顔を出した鈴香は、珍しく離れて座っている悠志郎と柚鈴を見て、意外そうな顔をした。
柚鈴が社務所で勉学をしながら仕事を手伝うというのは、もうすっかり定着していたことだが、それは全て悠志郎の側にいるためである。
そのことを誰よりも知っているだけに、鈴香は妙に感じたのだろう。
『いやはや……なんでもないですよ』
悠志郎は乾いた声で笑ったが、柚鈴はふたりに背を向けたまま振り返ろうともしない。
どうやら台所で無理やり犯したことを怒っているようだ。
……まあ、無理はありませんけど。
さすがにやりすぎたかな……と反省はしているのだが、これほどの態度を取られるとは思いもしなかった。
『ふうん……』
鈴香は意味ありげな表情を浮かべ、すっと悠志郎の隣に座ってくる。
その意図が分からずに、悠志郎がじっと見つめていると……。
『あら、悠志郎さん、私の顔に何かついています?』
『い、いえ……』
『ふふっ……なんだか今日の悠志郎さんは可愛らしいですね。私、そういう人好きですよ』
『はははは、いやはや……』
悠志郎が返答に困っていると、鈴香は不意に顔を寄せてきた。
『最近、柚鈴といい仲になったと思っていたんだけど……そうでないなら、私がお婿さんにもらっちゃおうかしら?』
鈴香の突飛な発言に、悠志郎が驚いて目を見開いた瞬間。
『だっ……駄目ぇっ!』
社務所の中に柚鈴の大声が響き渡った。
今にも泣き出さんばかりの表情で悠志郎ににじり寄ると、その腕をがっちりと抱きしめる。
『あ……あの……姉様っ……悠志郎さんが……そんなの……』
『ふふふっ!冗談よ。ふたりが喧嘩してるみたいだから少しからかってみただけよ』
柚鈴の必死な素振りを見て、鈴香は面白そうにくすくすと笑った。
『ほ、ほんとに……?』
『こんな冗談が嫌なら、喧嘩なんかしないこと。いいわね?』
柚鈴にだけではなく悠志郎にも言い聞かせるように、鈴香はふたりを交互に見ながら言った。
穏やかにそう説かれてはぐうの音も出ない。
『ご、ごめんなさい……変に……拗ねたりして……』
『いや……私も無理させました故に……。柚鈴、すみません』
『はい。仲直りは済んだわね?』
悠志郎たちが互いに謝罪すると、鈴香は笑顔を浮かべる。