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ヒューマン・ロール・プレイ
【調教 官能小説】

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〜 家庭科その6 〜-3

 家事専用の小間使いのために設えたお仕着せ、通称『メイド服』の着方も教わりました。 濃紺のワンピースとフリルがついた白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス。 そして白いレースがついたカチューシャ(ホワイトブリム)。 どちらも予想通り【B22番】先輩に似合っていました。 端正で鼻が高いし、顔全体が小ぶりなせいで、フリル系の服装は相性抜群です。 例えスカートが股下5センチで、下半身が丸見えだとしても、澄まして歩く【B22番】先輩からは、恥ずかしがっている様子なんて微塵もありません。 ホワイトブリムに縫い付けるレースは、基本的に自作です。 家庭科の時間に作るそうです。 鏡を机に置いて、鏡に向かって股を開き、膣口と尿道口をモデルに刺繍すると聞きました。 つまり、メイド服を着用する時は、頭に自分の恥かしい部分をかたどった飾りをつけて、その上で平然としなくちゃダメってことですよね。 それくらい今更どうってことないですけど……やっぱり、素直にお洒落ができた昔があるから、正直恥ずかしくないといえば嘘になります。 つい幼年学校と比べてしまって、比べるべき対象じゃないと分かっていても、学園生活の厳しさが身に沁みます。


 私たちが暮らす統一国家の前身といえば、旧世紀の日本です。 言語、習慣、食生活といった文化は、基本的に日本のそれを踏襲してきました。 その中で踏襲しきれていない分野が『衣服』で、旧世紀に着た物、つまり『着物・和服』は特別な事情がない限り、現代ではお目にかかりません。 懸衣型(身体に布をかけたもの)だったり、反物から裁断した直線生地で構成したりと、和服は様々な面で現代のスタンダードと違っています。 【B22番】先輩が手に取った着物はいわゆる
着付けの手順は細かく決まっていて、【B22番】先輩は1つ1つの動作を説明しながら、1人で上手に着物を羽織って見せてくれます。 私には手順の半分も覚えきれませんでした。 羽織る、背中心で合わせる、上前を決める、衽(おくみ)線を合わせる、下前を決める、腰ひもを結ぶ、お端折り(おはしょり)をつくる、掛け衿を合わせる、下前衿をとる、伊達締めをつける――それぞれの段取りにチェックすべきポイントが無数にあって、仮に説明書があったとしても、到底着れそうにありません。 そう考えると、久しぶりの着物を前に一切滞りなく着付を進めた【B22番】先輩……凄すぎますよね……先輩方の凄さは折に触れて痛感させられっぱなしです。
 着付を終えた姿も圧巻でした。 【B22番】先輩は切りそろえた前髪が元々和風だったし、綺麗な真っ黒い髪だし、和服が似合うだろうなって思ってはいましたが……想像以上で、どう表現したらいいか、上手く言葉にできません。 如いていえば、そのままで一枚の写真になるような、楚々とした最高級のお人形さんでしょうか。
 ただ、着付はここで終わりじゃありません。 徐(おもむろ)に裾を掴むと、先輩は着物を頭の上まで捲ったんです。 下着は着けていないため、真っ白な肌が着物の下から現れました。 そのまま捲った着物で上半身を包みます。 両手を含め、全て着物の裏地に隠してから、先輩は内側から服を縛ってしまいました。 まるで『茶巾寿司』から足が生えたような姿は、さっきまでの静謐な美しさとは対極です。 不恰好で、頭が悪そうで、みっともなくて……でも、それが私達にとって正しい着物の着方でした。 【B29番】先輩が説明してくれたんですが、キチンと作法に則って服をつけたうえで、隠すべき下半身を晒すために着物を捲り、隠す必要のない上半身を隠すこと。 これが牝の淫らな本性を体現する手段だそうです。 
 前が見えないため、【B22番】先輩は足許を探り探り部屋を一周してから、茶巾寿司を解(ほど)きます。 着物の中から現れた顔は、熱で蒸れたせいか、それともせっかく身につけた着物をひっくり返さなくちゃいけない口惜しさのせいか、さっきよりも赤く火照っているように見えました。




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