JK木村早苗のパンティ-1
クリスマス。
俺にとっては、まったく縁のないイベントだ。
テレビでは、クリスマスイブの都内のホテルはどこも予約で満杯だって言ってたけど、それって、それだけたくさんのやつらがエッチするってことじゃん。おっぱい吸って、パンティ脱がせて、チンポぶち込んで、アヘアヘ言わせて、それはホテルだけじゃなく個人宅でもやられるだろうから、イブの時は、街中あえぎ声でいっぱいだ。
ううっ、腹が立つ! 恥を知れ!
腹が立つといえば、今、俺の前を腕を組んで歩いているブサイク男とブス女のカップルだ。
こいつらもクリスマスイブには、エッチするんだろうな。ブサイクなくせに「愛してるよ」とかマジ顔で言って、ブスなくせに「あたしもよ……」なんて恥ずかしがる。ブサイクでホーケーなくせにチンポおっ勃てて、ブスでオマ×コも不細工なくせに、びちゃびちゃに濡らすことだけは一人前で、ベッドでブヒブヒ、アヘアヘするに違いない。
街はクリスマスのイルミネーションで、きらびやかだった。
街を歩く人たちは、まもなくやって来るクリスマスにわくわくして顔を輝かせている。
しかし、俺には、きらびやかもわくわくも関係ない。
イブの日は、ひとりで1個280円のケーキを食って、エロDVDを借りてオナニーして寝るだけだ。
しかし、そんな俺に事件が起きた。
バイト先からアパートに戻ってきた時のことだ。
ズボンを脱いで部屋着に着替えようとした時、背後に何かの気配を感じた。
振り返ると、
「うわあぁぁっ!」
天井のところに、宙に浮いている奇怪な生物がいた。
毛むくじゃらで、歯と目がむき出しになっていて、完全に地上の生き物ではない。長いしっぽも生えている。
「俺は死神デューク。全世界の非モテで、マスターベーションばかりをしている寂しい童貞キモ男を救うためにやって来た」
非モテで、マスターベーションばかりをしている寂しい童貞キモ男って俺のことか? 全部、当たっているけど、こんなふうにズバリと指摘されると腹が立つ。って、ポイントはそこじゃないだろう! 死神デュークって、俺は殺されるってことか!? こんな俺は生きてても、どーせロクな人生を送れるわけないから、あの世に連れていってしまおうってわけか!? でも、俺にだって生きる権利はある。生きていれば、いつか良いことがあるかもしれないし、何よりドーテーのまま死にたくない。
そのことを話すと、デュークは言った。
「話をよく聞けよ。俺はさっき<全世界の非モテで、マスターベーションばかりをしている寂しい童貞キモ男を救うためにやって来た>と言っただろう?」
救う? 前段の<非モテで、マスターベーションばかりをしている寂しい童貞キモ男>って所に引っ掛かってたから聞き逃していた。
「ほら、お前にこれをやるよ」
デュークは俺の前に一冊のノートを放り投げた。
「こ、これは……! デスノート……? もしかして、これって、殺したい人間の名前を書くと、死んでしまうっていう、某少年ジャ×プで連載されて、アニメやドラマや映画にもなった……」
「よく見ろよ。そういうノートも存在しているが、俺のは違うやつだ」
目を凝らして見てみると、ノートにはこう書かれていた。
「マスノート……?」
「そうだ。このノートは、欲しいマスターベーションのネタを書き込めば、たちまち、それが手に入ってしまうというオナニー大好き男のためのノートだ」
「別に俺はオナニー大好きってわけじゃないんですけどね。カノジョいなくて、フーゾク行く金もないからオナニーしているだけで」
「そうなのか? って、リアクションするポイントが違うだろう! 重要なのは、ノートに欲しいズリネタを書けば手に入るって所だ!」
俺は改めて死神に言われたことを頭の中で反芻(はんすう)してみた。
ノートに欲しいズリネタを書けば手に入る……って。
「そ、そんなことが出来るんですかーーーーー!?」