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【片思い 恋愛小説】

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サヨナラは、きっかけ。あなたを、忘れるための。

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〜プロローグ〜

季節はちょうど春から夏に変わろうとしていた。少しだけ開けておいた窓からは、夏独特の匂いがする。

本日は5月11日。天気は晴れ。只今時刻は午前2時。
体調は良好。意識は正常。気分は…、異常低下?

私は、家族が全員寝静まった中、一人ひたすらパソコンに向かった。そしてキーボードを叩き続けた。けして届くことのない手紙を、書き続けた。
多分もう3時間はすぎていた。明日は塾があるからそんなに長くは起きていられなかったが、眠くなる気配もなかった。

私は、ずっと大切にし続けた宝石箱から宝石を取り出して、磨いて綺麗にして、そしてまた宝石箱に戻すような、そんな行為を繰り返した。でも、全て磨き終わったら、その箱は二度と開かない。鍵は、明日にでも、捨ててしまうつもりだから。

多分明日私は、自分の大きな大きな一つの人生を終える。いや、終わらせる。悲しみはない。悔しさも。寂しさだけが、妙に心に残る。

窓の外では既にカラスが鳴いていた。朝が来る。光が私を照らし出す前に、この手紙を隠さなければ。

この手紙の最後は決めていた。最後の一行。

『サヨナラ。』


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