妖清の旋律-1
やや細身で小柄であった恵利子の身体に変化が表れる。
胸元は膨らみを見せ、双臀は悩ましい曲線を描きはじめていた。
合せて透き通るような白い肌に長い黒髪は、よりいっそう可憐な魅力を引き立たせる。
しかしそれは内面的な変化をも伴う、危うさ秘めるメタモルフォーゼと言えた。
帰宅後
恵利子は家族が寝静まってから、ゆっくりと浴槽に身を沈めスラリとした脚を伸ばす。
放課後、数時間前のことを思い浮かべると、心臓の鼓動が早くなる。
(嫌なはずなのに…… どうして…… )
湯舟の中で手が胸元へいくと、思わず薄桃色の先端に触れてしまう。
瞬間、身体に痺れるような感覚が奔る。
「あっあぁっ」
恵利子は膨らみを手で包み込む。
そして何度も“おとこ”からされたように、中指と薬指で先端を挟み込みながら包んだ手を揺らす。
(ああっ、ダメ! こんな事をしてはいけない)
幼き頃よりの母の教えが脳裏を過る。
貞操観念の高い母の教えが……
数か月前なら自慰行為など思いもよらなかったが……
しかし今ここにある自分は未通であるどころか、強いられたとは言え何度も関係を繰り返している。
(どうかこんな娘を許してください)
包み込んだ手の揺れは止まらなかった。
放課後、男に連れ込まれたラブホでのことが思い起こされる。
恵利子の手はゆっくりと、胸の膨らみを揉みはじめる。
中指と薬指で挟み込んだ先端には、しっかりとした固さを帯びていた。
次第に湯舟には、さざ波が立ちはじめる。
(あぁ、ダメなのにぃ いけないのに、すごく あ つ いぃぃ)
男に強いられた情景が、指先が、舌先が、そして貫かれる感覚を。
「はあぁっ」
利き腕とは逆の指先が、下腹部に触れる。
中指先の腹が既に尖った花芯に触れた瞬間、思わず声が漏れてしまう。
恵利子は誘惑に抗えず、ゆっくりと太ももを開く。
つけ根に息づく二枚貝は膨らみを増し、妖しく指先を奥へと誘う。
(あんなものが、わたしのなかへ)
いけない事と思いながら、恵利子は“おとこ”を想い浮かべていた。
親指と人差し指でリングを作り、感じた温度と感触を想い浮かべていた。
当初は嫌悪と憎しみしか感じなかったのに、今では……
「あっぁん」
誘惑に勝てなかった。
ぷっくり膨らんだ二枚貝を左右に押し分け、二本の指が膣底へと深く沈む。
もうだいぶ前から、指一本では満足出来なくなっていた。
自らをあさましい、恥知らずだと思っていた。
恵利子はおずおずと腰を浮かせながら、沈み込ませた指先を曳きもどす。
指先の腹で狭い内壁、上壁をゆっくりとなぞりあげていく。
びくりっと、恵利子の背が撓る。
何度も、何度も、二本の指が狭い膣孔の往復を繰り返す。
“おとこ”の先端にある括れが、なぞりあげていく感触を思い起こしながら繰り返す。
(いやっ、いやっ、ぁぁあ゛…… そんなに、そんなに苛めないでぇ)
胸を包んでいた手の中指先は、硬度を増した花芯を捉えていた。
浮かした腰の動きも大きくなりだす。
ゆらゆらとまるで男を誘うように揺れ動き、咥え込んだ二本の指を激しく締め付ける。
花芯を捉えた指先にも力がこもると、恵利子は顎をあげ背筋を反らす溜息をつく。
(やっぱり、こんなこと、いけない)
湯舟からあがり椅子に掛け、火照りを鎮めようと試みる。
身体から熱がひくにつれ、かえって下腹部の疼きが増してくる。
気持ちを入れ替えるため、長い黒髪を入念に洗髪する。
ぬるい湯が頭部から全身へと、心地よくつたい流れていく。
それでも下腹部の疼きは治まるどころか、熱がこもり続けていく。