Girl Meets Devil 〜そのU〜-3
「何処に住んでるの?」
お、おい!間違っても私の家って答えるなよ?
私のそんな気持ちに気付いたかどうかは知らないが、私の方を一瞬チラッと見てから、悪魔は口許を不敵に歪め、こう答えた。
「そこの柊の家に居候している♪」
言いやがったぁぁぁ……
皆の視線が私に向けられる。
好奇、嫉妬、驚愕など様々だ。
「茜、本当なの?」
「えっと…そのぅ……」
「そうだ♪」
「お前が答えるなあ!」
「じゃあ、本当なんだ!えっ…二人の関係は?恋人?血の繋がらない兄弟?まさか…許婚とか!?」
拙い…みんなの妄想が暴走しかけている!
変な噂が流れる前に何とかしなくては…
「違う!コイツはちょっとした知り合い!みんなが考えてる様な関係じゃないから!!」
本当は悪魔とその契約主なんだけど、そんなことは言えない……
「本当なの恭夜君?」
「まあ、そんなところだ♪」
そう言うと、悪魔はまたくっくっと笑ってやがる。
人の気持ちも知らないで…
あ〜もう最悪だ……
「疲れた…とてつもなく疲れた……」
今日一日あの悪魔のせいで精神的に疲れた…
今日はもうあの野郎の顔は見たくない。
しかし、その帰り道、私がさっさと帰ろうとしたのに恭夜‐仕方ないから恭夜と呼ぶことにした‐が呼び止めてきやがった。
「何の用……」
「同居人に対して冷たい奴だな。」
「…何が目的で入学した?」
「なあに、ただの暇潰しと好奇心だ。」
「…手続きは?」
「くっくっ…俺は魔王だぞ?人間の一人や二人騙すくらい容易い。」
もう何でもアリなんだ……
いつから私の細やかだけど幸せは人生は狂ったのだろう?
いっそ、コイツに会わなかったようにしてくれと願おうか?
「残念だが、過去に戻るのは無理だぞ。それを願うと様々な矛盾が生じるからな。」
「な、何で考えてることを…?」
「お前の考えなど表情からいくらでも読み取れる♪」
「読むな、馬鹿悪魔ぁ!それに何でついて来るの!」
「帰るからだ。」
「何処へ?」
「お前の家へ。つい口が滑ってクラスメートに喋ってしまったからな♪まさか、この状況で叩き出すなんて言わないよなぁ?」
この悪魔、最初からこれが狙いか!
くそぅ、成す術なし……
仕方ない……