Runa:「真夏の余韻に」-2
「勇樹にイカされたことは、何回かあるでしょ?」
確かに何度もある。でも、なんだか今日イカされた時が一番恥ずかしくて。
「あるけど…、今日はちょっと恥ずかしかったの…。」
勇樹と陽ちゃんの仲良くセックスしてるところを見せつけられて、私の性欲が高まっていたから?
そして、その高まった性欲から、勇樹にめちゃくちゃにされたいって思ってしまったから…?
何にしても、この部屋の異常な空気にさらされているせいなんだろうと、都合良く解釈した。
「気持ち良かった…?」
陽ちゃんが私の耳元でそう囁いて、
「うん…。すごく気持ち良かった。」
といつものように普通に答えてしまった。
いつも、陽ちゃんとエッチなことをした後のように。
「だって、勇樹。」
陽ちゃんがそう続けたので、私は急に冷静になって顔を上げて後ろを見る。
「へぇ、瑠奈ちゃんがそんなこと言ってくれるなんてあんまりないから、嬉しいなぁ。」
と勇樹が聞き耳を立てて、ゲスな笑みを浮かべていた。
「聞いてたの!?」
私がそう言うと、勇樹は笑顔で「うん。」と頷いた。
そして、勇樹は陽ちゃんから奪うかのように私の体を抱き寄せて、両手で胸を揉まれる。
「本当、この触り心地癖になるよね〜。」
そう言いながら、私の胸をゆっくり大きく持ち上げるように勇樹は揉んだ。
「勇樹は、まだまだ元気みたいだよ?だから…瑠奈も気持ち良くしてあげたら?」
私はふと、今日の更衣室での会話を思い出す。
「(いけない子だね、瑠奈は。自分だけ気持ちよくなって、勇樹には一人でさせちゃってるんだ…。)」
陽ちゃんのその言葉が蘇ってきて、少し怖くなる。
男の人を気持ち良くさせるって、どうすればいいの?
「勇樹、瑠奈がね…今まで気持ち良くしてくれたお礼に、あそこを舐めてあげたいんだって。でも、瑠奈はやり方を知らないから、勇樹が丁寧に教えてあげて?できるでしょ。私はお風呂入ってくるから…二人でごゆっくり♡」
陽ちゃんの方を見ると、足がおぼつかない様子で、バスタオルと着替えを持って部屋の入口へと歩いていった。
「あ…、分かってると思うけど。私がいないからって、二人ともエッチしたらダメだよ?」
最後にそう言って、バタンと扉が閉まった。
まさか、他人の家…それも陽ちゃんの家で勇樹と二人きりなるところは恐らく私も、勇樹も想像していなかっただろう。
ふと、気付くと私がさっき勇樹に蜜壺を掻き回されていた辺りのシーツのところに大きな染みができていた。
こんなに出していたのか、と思うとまた恥ずかしくなる。
「瑠奈ちゃん…今陽が言ってたことって、本当?」
おしゃぶりが手放せない赤ん坊のように、勇樹は私の胸から手を離さなかった。
そりゃあ、陽ちゃん曰く…口唇期?の名残らしいし…。
「私、どうすればいいのかな…。」
私がそう言うと、勇樹は私の胸を強く抱きしめた。
「陽はああいう風に言ってたけど…別にしなくてもいいよ?俺は瑠奈ちゃんの体を触れてるだけで満足してるし…。もちろんそりゃ、瑠奈ちゃんの意志で俺にフェラしてくれるなら?スッゲー興奮すると思うけど。」
勇樹は私の首の辺りに顔を密着させるようにして、
「女の人に自分のちんこを舐めてもらうなんて、汚くて申し訳ないじゃん。だから、嫌だったとしても全然平気だから。」
と続けた。
私の体を触ってるだけで満足できるなんて、勇樹はどうしてこういう風になったのだろう。
陽ちゃんに言われたから、とかそんなレベルの話ではなかった。
浩人はあんなに私とセックスしたり、いやらしいことをさせようと躍起になっていたのに。
そういえば、勇樹は私の体を触りまくってくる割には、自分のことを気持ちよくしてもらいたいっていう欲が低い気がする。
勇樹という人間が、どうしてこうなったのか少しだけ知りたいと、私は思った。
「勇樹くん…私、まだ謝ってなかった。ごめんね。…勇樹くんは、本当に私のことを考えてくれる人だったのに、私の元彼なんかと一緒にしちゃって。勇樹くんは、私が嫌だって言ったら、ちゃんと我慢できる人だったのに。ずっと、不安だったの。」
不安…、いつまで勇樹は私のことを気持ち良くするだけで満足するのだろうかという不安?
初めて会った時から、今日まで続いてきたこの変な関係。
それも全部、陽ちゃんがやったことなら、少しだけ安心できた気がする。
「でもね、陽ちゃんがどういう考えで私たちを会わせたのかを聞いて、少し安心できた気がするんだ。勇樹くんが、陽ちゃんのこと大切にしてるのは分かったし…。陽ちゃんが信用できる人なら、私も信用する。」
「仕方ないよ、男はみんなそうだから。俺がおかしいんだよ、きっと。俺も陽とエッチしたとき、最初からあんな感じじゃなかった。最初は陽を汚してしまうのが怖くて、キスとか抱きしめるだけで我慢してた。」
彼女に対しても、ずっとそんな感じだったなんて…。性欲があるんだか、ないんだか…。
「次第に慣れていったんだ。俺も陽も。だから、いきなり出会った瑠奈ちゃんが俺のことを信用できないなんて、当たり前だよ。それが正しいんだよ。」
と勇樹は私の胸を飽きずに触り続けていた。