サプライズ-9
「どうよ? こうやって抱えられながらぶちこまれるのは?」
「おっ、奥! 奥に当たって、気持ちいぃのぉ!」
「だろ? 康太先輩にはできねーよな、こんなこと! そら、イけ!」
「あ、うぁあああっ!」
「ほら、このリビングでも先輩とやったんだろ!」
「あ、う、ううんっ! してない! 家では、なんにも、してないのぉっ!」
「はんっ! じゃあまた俺の圧勝ってことだな! もっとも、先輩なんかじゃはなっから俺の
相手にはなんないけどよ!」
「う、うぅん! あっ、あっ、あああぁっ!」
「今度は乳マ○コだ! おら、挟め!」
「む、無理だよぉ! したことないし……そんな、おっきくないからぁっ!」
「は!? したことない!? どんだけどんくせーんだよあの人! なら寄せろ! ほら!」
「んっ! んんっ!」
「おら、おら、おら、おら、おらぁ!……ふしゅっ!」
「あっ! あぅっ!……う、うぅ……もう……顔、ベタベタ……」
仮に無理を通して美奈の家に押しかけても、待っているのはこういった見たくもない痴態と
聞きたくもない嬌声に違いなかった。どこを見ても、何をやっても、とめどない妄想が頭から
離れず、最後には心のどこかが壊れてしまうに決まっている。
「……帰ろう」
康太はのっそりと立ち上がってとぼとぼと情けない足どりで階段を登ると、改札を出ないで
そのまま反対側のホームへと降りた。
そして再びベンチにどっかり座ると、電車を待ちながら少しずつ、ヒビの入った心の整理を
始める。
「取られたん……だよな」
いきなり、重い言葉が漏れた。
妄想はともかくキスシーンを目撃したのは確かなのだ。既に美奈は潤のものになっていると
みて間違いないだろう。
「……はは」
もう、笑うしかなかった。