プロローグ-1
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――貧しい国の、とある森で。
鋭い鎌のような三日月の晩に、一人の悪魔が生まれた。
悪魔は森の近くに住む人々を皆殺し、幾つかあった小さな村はたちまち無人の廃墟と化した。
知らずに森の道を通りかかった旅人も、次々と殺された。
残虐な恐ろしい悪魔の噂は、運良く逃げ延びたわずかな者たちから広まっていき、その道を通ろうとする者は誰もいなくなった。
そんなある日。果敢にも単身で悪魔退治へ立ち向かった男がいた。
男は三日後に戻り、悪魔を倒したと人々に告げた。
しかし、気が変わったと約束の報酬は受け取らず、人々に森の安全を確認させると、男はそのまま名も告げずに姿を消したのだった――
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