柔らかい朝-1
第7話(最終話) 柔らかい朝
千帆の目が覚めると、すでに陽は高くなっていた。
陽がカーテンを通して部屋の中は明るくなっている。
向こうを向いて寝ていた弘美も千帆に気がついて目が覚めた。
時計を見ると朝の9時近くになっていた。
寮では朝の忙しさが終わった頃だ。
二人は寮の共同トイレを思い出した。
とりあえず、何も騒動は起きていないようだ。
二人は昨夜の事件を皆に知られず逃げ切ったことを理解した。
千帆と弘美は顔を見合わせた。
「千帆さん…、あの後わたし、どうなっちゃったの?」
「疲れて眠っちゃったのよ」
「そうなんだ…」
記憶が途絶えている弘美は不思議そうな顔をした。
弘美は自分の下腹部に手を当てた。
便秘が始まった春以降、こうやって触るのが癖になっていた。
(ない!)
膨満した丘がなくなっている。
下腹はすっかり平らになっている。
高校生までの弘美のお腹はこうだった。
弘美は健康だった時の身体にやっと戻れたのである。
千帆は目の前で、弘美の顔が驚きから喜びに変わっていく様子をしっかり見ていた。
「よかったね、弘美ちゃん」
「ありがとう、千帆さん!」