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秘密は21号室で
【同性愛♀ 官能小説】

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黄土色の海-1

第6話 黄土色の海

便器の中を見ると、弘美が出した便で満杯になっていた。
底水はまるで見えず、一面が下痢便の海で満たされている。
便の海抜は異常に高く、陶器の縁まで余裕がなかった。
自身が便秘症の千帆には、これの意味していることが理解できた。

「弘美ちゃん、苦しかったでしょ?こんなにお腹に溜まっていたんだものね…」

誰だってこんなになるまで便をお腹に溜めておきたくはない。
しかし便秘症の人はどうしても溜まってしまい、さんざん苦しむことになるのだ。

「がんばったね…」

千帆は弘美を抱きしめた。
自分も経験した同じ苦しみを味わい、それを乗り越えた弘美が愛おしかった。
抱きしめた訳は、なぜか涙腺がゆるみ、それを弘美に見られたくなかったからでもあった。

「でも、これ、どうしよう?」

弘美が便器の中を見て不安げにつぶやいた。
どう見ても、これは危ない状態だった。
このまま水洗を流せば、詰まって溢れてしまうことだろう。

陶器の縁から便の作った水面まで10センチもない。
薬の効果でペースト状に溶けた黄土色の便が一面に広がっている。
いくつか泡のような小さな気泡の粒が見える。
ドブ溜りのように、粒によってはプチッと弾けメタンガスが放出された。
表面からは見えないが、この下にゴツゴツの岩石と死んだ蛇が眠っていることを二人は知っていた。
気泡の粒は、死んだはずの蛇が生き返り呼吸しているような錯覚を与えた。
蛇から逆襲される前に何とかしなければならない。

「千帆さん、これ、流すと溢れちゃうかも…。ごめんなさい、わたしが悪いの」

「なに言っているの?弘美ちゃんが悪いわけないじゃない。もし溢れたら、わたしが掃除するから」


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