悪魔との死闘-6
腸が自らの意思を持っているかのように便の排出は止まらなかった。
「うぅぅ…」
弘美はランニングマシンの上で無理やり走らされるように体力を消耗し続けた。
ブビュー!ブビュー!
腸が振り絞る便が水様便に変化してきた。
「弘美ちゃん、これよ!便秘薬で溶かされたウンチよ」
明け方に目が覚めてしまった腹痛の原因がこれだった。
ビューッ!ビューッ!
大量の水様便は、先に出た形のある便を覆い隠していった。
ドロドロの便はそれ自体で便器内に海を作りつつあったのである。
便秘薬により強制的に溶かされた便の異臭は、最初に出た硬便のものとは違った。
最初の硬便は腐敗したメタンガスのような臭いだったが、溶けた便は内臓が出した体液の異臭だった。
しいて言えば、おう吐物のツンとくる胃液臭を濃縮させたようなものに近かった。
胃から始まり、あらゆる臓器が出した液が混じり合い、独特の強い刺激臭になっていた。
ビーッ!ビーッ!
溶けた便が尻穴から撃たれ、黄土色の軟便の海を射る。
そのたびにボチャボチャと音がし、そこから重い波が周囲に波紋のように広がっていった。
だんだん弘美が落ち着いてきた。
ようやく出し切ったようだ。
「だいじょうぶ?立てる?」
千帆は弘美を立たせ前かがみにさせた。
白桃のような尻たぶには、飛び散った便の飛沫が痛ましく付着していた。
千帆は予め用意したトイレットペーパーで弘美の尻を丁寧に拭いた。
尻たぶを拡げると、尻穴から尻たぶにかけて粘液状の便でべっとり汚れていた。
千帆から尻を拭かれ、弘美は幼児になったようなむず痒さをおぼえた。
「はずかしい…」
それは疲れた声だったが、痛みに苦しむ様子は感じられない。
千帆はほっとした。
「治ったみたいね?」
弘美は気恥ずかしそうにうなずいた。
お腹の痛みは引いていた。
そして、下腹部の張りは嘘のようになくなっていたのだった。