先輩からの便秘治療-6
弘美はポカンとした表情で聞いている。
「弘美ちゃんは、浣腸ってしたことある?」
「したことないです」
「お尻からお薬を入れて、その硬いウンチを出すの。やってみる?」
「でも、わたし、やったことないし、怖い」
「怖くないようにやってあげるから。心配しないで」
「そう言えば、千帆さんは昔、浣腸してもらったことがあるってお話してくれた…」
「そうよ、お話した中学の合宿の時にね。今の弘美ちゃんのようになっちゃったの。お腹痛くて、それでも自分じゃ出せなくて…」
一瞬、千帆の脳裏に昔の辛い経験がよぎった。
言葉が途切れ、千帆の顔が曇った。
「千帆さん?」
弘美が不安げにうかがう。
「わたしもその時、弘美ちゃんと同じように泣いたのよ。辛くて泣いちゃったの。だから、今の弘美ちゃんのことが良く分かるのよ」
「千帆さん…」
弘美は、千帆に巡り合えたこと、思い切ってこの部屋へ来たことは正解だと思った。
いわば、患者を良く理解してくれる最高の医者に当たったように思えたのである。
「千帆さん、わたし、浣腸してみる」
それを聞いて千帆の表情が晴れた。