先輩からの便秘治療-3
弘美は力んだ。
しかし、便は出てこない。
激しい腹痛なのだが、この痛みは便意とは違うような感じがする。
「はうぅ〜!」
身体を折り曲げていきむが、何度頑張っても便は出そうにない。
(出ない!)
腹痛と焦りから弘美の顔色は青ざめていく。
下腹部を押さえる。
痛みはだんだん激しくなってくる。
「いたぁ〜い…」
思わず呻き声を上げた。
「痛いよ…。助けて、だれか…」
誰かにすがりたい。
弘美の目にまた涙が浮かんできた。
意識が朦朧とするような激痛の中で、千帆の姿が思い浮かんできた。
(千帆さんの部屋に行こうか?)
しかし、それでは寝ている先輩を起こしてしまうことになる。
弘美はさんざん悩んだが、仕方がなかった。
頼れる人は千帆しかないのだ。
(千帆さんのところに行こう)
弘美はふらふらしながら廊下を歩いて千帆の部屋の前まで来た。
ドアの中は物音一つしない。
千帆は寝ているに違いなかったが、起きてもらうしかない。
自分一人では、もうどうにもならないのだ。