奥でうごめく指-12
「でも、千帆さんに迷惑かけちゃったもの」
それを聞いて、千帆は少し考えるように間を置いた。
「さっき、中学の時に摘便されたって言ったでしょ?夏休みにテニスの合宿があったの。わたし、その合宿中に便秘になっちゃって…。お医者さんに連れていかれたの」
弘美は真剣な目で聞いている。
「ひどい便秘で、浣腸も効かなかったの…。それで摘便されたのよ。最後に大きな点滴のような浣腸をしてもらってやっと出たんだけど、この臭いと同じだったよ。強烈な臭い」
弘美は放心したような表情で聞いている。
(先輩は自分の秘密をしゃべってくれている)
息詰まるような時間が過ぎる。
「でもね、その時は、コーチと看護師さんが世話してくれたんだけど、二人とも喜んでくれたの。『出てよかったね』って。私が出した、もの凄い臭いの中でね」
千帆は弘美の下腹部を優しく撫でた。
「出てよかったね…」
弘美はその言葉に気が遠くなるような感動をおぼえた。
恥ずかしくも嬉しい。
優しさが身に沁みる。
そして憧れの先輩と秘密の時間を共有していることに幸せを感じた。
潤んだような瞳で千帆を見た。
「ありがとう。千帆さん…」
それにしても、まだ性の経験がない弘美にとって千帆のレッスンは刺激が強すぎたようである。