WWW.-1
高校3年生。 おれは熱い男に出会った。 あいつのせいで、おれの中の何かが変わったんだ。
熱くて泥くさい一年間のおれらの話。
おれはヒデ。 とりあえず、進学校だから、高卒じゃシャレにならないから、大学いこうかなとか思って毎日うざい授業を半分寝ながら聞いていた。 退屈だった。 逃げたしたかった。でもそんな勇気もなく、この流れに逆らえず過ごしていた。
4月。始業式。
気持ち新たに〜とか校長が独り言のようにつぶやく全校集会。
はやく、タバコでも吸いいきてぇなぁとか考えながら苦痛な時間ばかりがスローペースで流れていく。
長い話が終わり担任紹介。
今年から担任が代わる。
嶋という28才くらいの体育会系な先生だった。
「またウゼェのに決まっちまったな!」
となりの上田がささやいた。
担任なんて肩書きだけのウワベしか見てないリーマンだ。
進学率とか結果しか見てない。 出世の道具か?おれら……
とか思いながら、あいさつを聞き流す。
長い集会もおわって教室に戻る。
3ーA。おれのクラスだ。
ガヤガヤみんな春の陽気のせいでいつもよりテンションが高い。
ガラガラ〜
嶋が入ってきた。
黒板に何か書き始めた。
みんな注目しはじめる。
“WWW”
そう嶋はデカい字で書いた。
「みんな〜っ今年一年よろしく!担任になる嶋だ。
だれかこの意味知ってるかぁ?」
パソコン部部長の竹中が答えた。
「ワールドワイドウェブですか?」
嶋は暑苦しい笑顔で、
「ありがとうっ!正しい答えだ。
でもおれがみんなに伝えたいのはそういうことじゃなくて……」
と言いながら書き足した。
“ワーストでいい
わたしを偽らず
笑って生きろ!”
汚い字だ。意味わかんねぇ!
嶋は続ける。
「君たちは生きてるかい?そりゃ当たり前に息して生活して恋して毎日をがんばってると思う!
でもなっ本当にやりたいことしてるか?自分を偽らずに。
レールにはまるな!
優等生であるな!
ワーストでいいんだ!
笑える人生を一緒に探そうじゃないか!」
嶋の勢いに負けてみんな黙り込んだ。
頭では納得できるけど、受け入れたくない。
それが高校生。
そんなわだかまりを嶋は打ち壊していくんだった。