Runa:「獣の目」-3
「何これ…!勇樹くん、こんなところで何するつもり…?あっ!」
勇樹は乱暴に私の右の胸を鷲掴みにし、左手で私の胸にかけた液体を胸の全体に伸ばすように広げていく。
「瑠奈ちゃんにとって俺は、元彼のような性欲を弁えない猿と一緒かなぁ。」
いつも、ヘラヘラしていた勇樹が真顔で私の体を弄っている様子に、恐怖を感じた。
乾いていた私の水着が、プールに入ってもいないのに、どんどんこのチョコレートの匂いのする液体で染みていく。
怖い。
いつもの勇樹じゃない。彼が優しい笑顔で私の体を触ってくる時とはまるで違う。
元彼の浩人が、セックスを強要してきた時と同じ感じがして、私はこの場から逃げたいと思ってしまった。
「勇樹くんやめて…!誰か来たらやだ!離して!」
抵抗しようとするも、勇樹が私の体に乗っていて上手く身動きを取ることができない。
抵抗する私のことを、勇樹は表情一つ変えず冷たい視線でただ見ているだけだった。
「んっ!!」
私の口の中に、勇樹の右手の人差し指と中指と薬指が入ってくる。
液体の付いた指先が、舌に触れると、チョコレートの味がした。
「これ、甘いでしょ。舐められるローションなんだよ、これ。俺の指おいしい?ほら、たくさん舐めなよ。」
そう言って、勇樹はチューブを胸から下腹部までたっぷりとそのローションを流した。
水着越しから、ローションの冷たさが伝わって、その度に体がビクンとなる。
「んんーーっ!」
やめて、怖い。
そう言いたいのに、勇樹の指で私の口は塞がれていて、声を出すことができない。
勇樹を獣のようにさせてしまった。
勇樹はいつだって、私が怖くないように笑っていてくれた。
私に逃げ道を常に選択肢の中に与えて、強要はさせなかったのに。
浩人と同じような、獣の目になってしまった。
「んっ!んんっ…!」
私の口に指を入れたまま、勇樹は片方の手で、チョコレート味のローションを広げるように、胸を触る。
ただ、力が強くて、いつものようにくすぐったいとか、そこから気持ち良くなれるとは思えなかった。
勇樹に乱暴に胸を触られて、痛い。
「俺は、大事にしてる彼女がいる。でも、その人とは会えなくて。本当はもっとデートしたり、エッチもしたりしたいよ。でも、彼女は受験勉強でそんなことしてる場合じゃない。俺は一人ぼっちになってた。その時、瑠奈ちゃんを誕生日プレゼントにもらった。」
勇樹は、口の中に入れていた指を抜いて、私の水着の肩の紐をずらして、そのまま胸を露出させた。
私の胸は、チョコレートのローションが染みていて、光沢を放っている。
その露出した右の胸の方を勇樹は握り潰すような強さで揉む。
「んっ!勇樹くん…痛いって。」
私がそう言うと、勇樹は悲しげな表情を浮かべた。
「俺はね、彼女とはこういうこと、一切しなかったんだ。AVの真似事をしてるって思われて、ドン引きされそうだったから。だから、エッチ以外のことを瑠奈ちゃんになんでもしていいって言われたから、俺の頭の中にある性欲を、その欲望を全部瑠奈ちゃんの体にぶつけてやろうって思った。」
勇樹はそういうと、私の左の乳首に思いっきり吸い付いてきた。
「んんっ…勇樹くん…やめて!」
乳首は甘噛みされていて、少し痛いと感じたが、歯の絶妙な圧と、生温かい舌触りで、不覚にも気持ちいいと思ってしまう。
「瑠奈ちゃんのこと、めちゃくちゃにしたいし、俺の妄想の中だったら、瑠奈ちゃんのこと色んな体位で犯しまくってるよ。でもそれをしないのは、浮気にしたくないから。やっぱり、付き合ってる彼女のことが一番だし。」
勇樹は、右の胸を強く揉んでいた手を離し、私の髪を撫でる。
私はこの時、初めて気付いてしまった。
本当は、勇樹はこんな風にしたかったのかもしれないのだと。
私が、なんの感情もない、女の体をした肉の入れ物だとしたら。
こんな風に乱暴に体を触って、私の下半身をぐちゃぐちゃにして、熱い肉棒で好きなだけ突きまくって、たっぷりと熱い精子を注ぎ込まれているのだろう。
「んんっ…。」
勇樹の甘噛みは、少しずつ痛みを伴わないものになっていって、舌のザラザラした表面や、裏を使って舐められて、いつもの上手な愛撫へと変わってきた。
勇樹が、本気で私を肉の塊のように扱ったら、私はただ苦痛なだけで、一方的な性の捌け口にされているだけだったのだろう。
それをしないのは…、勇樹の優しさ故だったのかもしれない。
その方が簡単に思えた。
勇樹が私にしていることは、難しいんだろう。
自分の本当の欲望を抑えて、私に逃げ道を与えつつ、私のことを気持ち良くしてくれている。
勇樹が私がオナニーをしていた時にやってくれた雰囲気作りを始め、保健の先生がこないことを配慮してくれたり、跳び箱の中で…してくれたこと。
全部私のことを考えてくれていた。
あぁ、きっと…体が気持ち良くなることって、相手への気遣いが大きかったのかも…。
勇樹が、獣のようになってしまうまで、それに気付けなかったなんて、私は…。
いつもの優しい勇樹が恋しくなって、目の奥が熱くなってしまった。
勇樹の表情が、少し見え辛くなる。
「あんっ…んんっ…」
勇樹の手が、ローションで染みていない私の下半身へと伸びる。
でも、私の恥ずかしいところは、ローション無しでも濡れている自覚があった。
勇樹が立ちあがって、腹部に押し付けられていた、熱い缶コーヒーから解放される。
勇樹は制服のパンツを脱いで、そのまま下着も脱いで、その肉棒を私に向ける。