月夜のプール-1
他の生徒は誰も居ない真夜中のプールサイドに独りで腰掛けている、濡れて雫を滴らせたスクール水着を着て俯き加減のレイに、夏の蒸し暑い空気に制服を少し汗ばませているシンジが、驚かせないように優しい調子で声を掛けた。
レイの細くスラリと伸びた肢が透き通った水の中から引き揚げられると、虫の音しか聞こえない静寂の月夜に涼しげな水音を響かせる。
碇君、とレイが消えそうな声で云う。
「何かわたしに用があるのかしら」
「綾波の泳ぎを見てたんだよ」
依然として無表情なままの彼女の唇から、そんなことをして楽しいの、という言葉が漏れたが、覗き見ていたシンジの視線を嫌うような調子を少しも含ませてはいなかった。
彼の行為が理解不能であるという感情を匂わせる、冷たい疑問を発しただけである。
それに対して軽く微笑んでみせたシンジは、月の光を艶やかに反射しているレイの蒼い髪を軽く撫でる。
そして不意にレイを抱きしめた。
「制服、濡れちゃうわ」
「ぼくは構わないよ。綾波の身体、暖かいね」
レイの紅い瞳が瞬きもせずにこちらをじっと見つめている。
シンジは唇を重ねた。レイが穏やかに瞼を閉じた瞬間、重大な任務を背負うファーストチルドレンが一人の純粋な乙女に変身してしまったかのようだった。
まだ幼い彼女の華奢な上半身はシンジの抱擁に応じてしなやかに揺れている。
そして小さな飛沫を上げながらプールに浸かると、二人の腰の辺りまで暗い水面が呑み込んでしまった。
水が染み込んだスラックスがシンジの腰下に纏わりつく。
その布の上からでもレイの体温がほのかに伝わってくる。
やがて二人の鼓動は少しずつシンクロしていく。
紺色の水着の肩の部分をずらすと、殆ど見分けが付かない程に微妙な日焼けの跡が露出する。
その部分から手を潜り込ませて乳房をまさぐると、レイの頬が僅かに赤くなった。
ひとつになりたいの、彼女はそう呟いた。シンジは黙って愛撫する。
「あっ…」
桃色の乳首に指先が触れるとレイは吐息を我慢することが出来なくなった。
首筋に舌を這わせると、躊躇いがちに彼女の方からも指を下半身に絡ませてくる。
水に濡れて扱いにくいチャックを開けようともどかしげな手付きだ。
暫くして屹立した硬い少年の陰茎が弾け出た。
レイが丁寧に撫で回すと脈動して反応した。
息遣いを荒くしているシンジは、股間を覆う布の間から女性器に指を進入させた。
「ああ…碇君、お願い」
「どうして欲しいんだい?」
「わからない…わたし、慰めて欲しいのかもしれない」
「何をすれば綾波を喜ばせられるかな」
「…そのペニスをわたしに入れて欲しい」
「いいのかい、綾波」
祈るように厳かな雰囲気の中でレイは静かに首を振った。
まだ黒くない少年の陰茎は、破裂しそうなほど膨張しながら、暗闇の中で秘所を探して少女の肌の上を滑っている。
そして水着の隙間から微かな割れ目を見付け出すと、透明な液を滲ませた亀頭をそこへ埋め込もうとした。
彼女の入り口は狭くて中々侵入を許さない。
気が堰いているシンジが時折無理に進めようとすると、レイの軽く鋭い悲鳴を聴くことになる。